そんなことから、3月最終週の直前週の今週は、「三角もちあい上放れ」の上昇には大きなチャンス。そのチャンスをものにできるかどうかは、投資家心理という環境の改善と、何かのきっかけで「点火」することが必要になる。前週はイベントを無事に通過しても、その2つが欠けていた。投資家心理は安倍内閣への「疑惑」という経済以外の要素で冷やされたが、それは今週23日の木曜日に国会で証人喚問が行われてネガティブイベントを一応通過する。それにより株価の上昇に「点火」するかもしれない。
それ以外に火がつきそうな要素としてはG20の結果を受けて為替がドル高に振れるというものもあるが、これは逆に水をかけられて円高になるリスクも秘めている。
今週、もし点火して3月2日のザラ場ベースの昨年来高値19668円を超えれば、株価上昇で来週は29日の権利配当落ちを乗り越え、月末は19700円台、19800円台に乗せられるだろう。もし点火せず、上がっても19500円台にとどまるなら、来週の権利配当落ちの影響をもろに受けて月末は19200円台、19300円台でくすぶりそうだ。その意味では今週は大きな分岐点と言える。
そのポジティブシナリオのほうを採用するなら、今週の上値のメドはボリンジャーバンドの25日線+2σの19691円。ネガティブシナリオのほうを採用するなら、今週の下値のメドは25日移動平均の19394円。前週の日経平均は沈滞していたように見えて、25日移動平均を一度も割り込まなかった。前回割り込んだのは前々週の8日だった。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは19400~19700円とみる。
国会での「証人喚問」の翌日、日経平均株価はどうなったか? 過去10回の「星取」を調べると、商工ローン事件の1999年12月14日は×、KSD事件の2001年2月28日は×、ムネオハウス事件の2002年3月11日は×、姉歯事件の2005年12月14日は×、2006年1月17日は×、山田洋行事件の2007年10月29日は×、2007年11月15日は×、2008年5月22日は○、AIJ投資顧問事件の2012年4月13日は×、2012年4月24日は○。10日間で2勝8敗と大きく負け越し。イベント通過で株価上昇、とはいかないようだが……。(編集担当:寺尾淳)