日本国内でアルコール飲料の消費は2000年以降漸減が続いている。しかし、ここ数年のウイスキーブームとは別に、ホワイトスピリットのひとつ、テキーラの売上が伸びている。英国アルコール飲料リサーチ大手のIWSRによれば、2011年に日本で消費したテキーラは、17万ケースだったが、2016年には22万9000ケースまで伸長しているという。
なかでも、1795年創業でテキーラメーカー最大手のクエルボ社の製品の国内消費量は、この10年で倍増。昨年日本国内で10万7700ケースを販売し、国内シェア50%に達している。テキーラのリーディングブランドとして、日本市場に根付いたといえそうだ。
そのクエルボが、日本に向けて新製品を投入する。メキシコ大使館で発表されたプレミアムテキーラ『クエルボ・プラティノ』『クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア』(各瓶750ml)だ。アサヒビールが2017年3月21日から全国で新発売する。
テキーラはメキシコ国内の5つの州だけで製造が認められている“原産地呼称”で保護された飲料で、「テキーラ規制委員会(CRT)」による厳格な規則がある。「アルコール度数35%-55%、2回以上の蒸溜。原料のアガヴェ(竜舌蘭)51%以上使用すること」などの規定だ。
『クエルボ・プラティノ』『クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア』は、原料にアガヴェ(竜舌蘭)だけを使用した“アガヴェ100%テキーラ”で、ホセ・クエルボ社のラインアップのなかで最高峰の位置づけとなるプレミアムテキーラだ。“アガヴェ100%テキーラ”は、アガヴェ本来の甘みや華やかな香りを楽しめるテキーラとしてアメリカを中心に注目が高まり、メキシコのテキーラ輸出総量に占める構成比が2003年の約1割から、2014年に約4割にまで拡大した。日本における2015年の販売数量についても2ケタ増で伸長している。
今回発表した新製品は、価格もプレミアムで、『クエルボ・プラティノ』の希望小売価格は1万円(税別)、『クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア』は1万8000円(同)となる。
プレミアム価格対の高級テキーラを訴求する一方で、家飲み派をも想定した氷を入れたグラスに注ぐだけ、あるいはソーダで割るだけで気軽にテキーラベースカクテル「マルガリータ」として愉しめるクエルボのミックスリキュール『クエルボ・マルガリータ』を発売する。
『クエルボ・マルガリータ』は気軽に「マルガリータ」を楽しむことができるように、日本市場に向けて、ホセ・クエルボ社とアサヒビールが共同開発した製品だ。「クエルボ」の味わいと、ライムの爽やかな香味、オレンジリキュールの甘さがバランスした製品だ。こちらはリーズナブルな価格で訴求し700ml瓶(アルコール度数18%)で希望小売価格1200円(税別)としている。
アサヒビールはテキーラの販売促進で、プレミアム製品訴求と手軽でリーズナブルな製品投入という両睨みの戦略で臨むようだ。(編集担当:吉田恒)