日本維新の会は2月9日に「ギャンブル等依存症対策基本法案」を参院に提出。ギャンブル依存症対策に関する計画を国や都道府県に求める。統合型リゾート整備推進法、通称カジノ法が昨年の臨時国会で成立した。もし実際にカジノが出来ればギャンブル依存症患者も増加する恐れが懸念される。同党はカジノ法成立を推進してきたが、同時に依存症対策を打ち出す姿勢を強調する狙いがある。
カジノ法には付帯決議にギャンブル依存への対策強化も盛り込まれており、与党内でもギャンブル依存対策強化について党内議論を進めている。ただし、ギャンブル依存症にどのような具体的な対策がなされるかは不透明なままだ。
現状でもパチンコや競馬などのギャンブル依存に苦しんでいる人は多い。警察庁によると、昨年1年間で摘発された刑法反応うち、パチンコに使う資金調達が動機になったものは1329件、競馬などその他のギャンブルが動機になったものも999件あったという。
今月1日、愛知県名古屋市南区で高齢の夫婦が殺害され、財布を奪われるという強盗殺人事件が発生した。容疑者は生活費の殆どをパチンコに使い、金に困って事件を起こしたとみられている。
また、犯罪だけでなく自殺の要因にもなる。昨年、「経済・生活問題」を原因に自殺した人は3234人。自己破産者数は13年ぶりに増加して、6万4637件であった。すべてギャンブルが原因とは言い切れないが、ギャンブル依存に陥り、借金を重ねた挙句、自己破産・自殺するというケースも相当数な割合で存在するだろう。
今でもこうした現状があるのに、カジノが出来れば一層ギャンブル依存症を増長しかねない。アルコール依存やうつ病のように精神疾患としてみなされ、治療や改善する体制は整いつつあるが、それも依然としてギャンブルにのめり込む人は少なくない。法整備がなされ、ギャンブル依存症に対する具体的な対策について議論が進み、実施されることを期待する。(編集担当:久保田雄城)