三菱重工が、同社の保有するキャタピラージャパンの株式(発行済株式総数の33%)を全株、キャタピラージャパンに譲渡することで、米国キャタピラー社およびキャタピラージャパンと合意したと発表。譲渡額は365億円となる見通しで、これにより、1963年以来続けてきた同社とキャタピラー社の合弁事業は解消され、キャタピラージャパンはキャタピラー社の完全子会社となる。
同社とキャタピラー社の建設機械合弁事業は、1963年に折半出資によりキャタピラー三菱株式会社を設立したことに始まる。その後、1987年に三菱重工の油圧ショベル事業の移管を受け、商号を新キャタピラー三菱に変更、2001年には同社の建設機械事業の大部分も事業に加え、フルラインメーカーとして事業の拡大を図っていた。
今回の株式譲渡は、2008年に行われた出資比率の見直しに続くもの。事業の選択と集中を進めたい三菱重工と、新興国市場を中心に事業のグローバル展開を一層加速したいキャタピラー社側との思いが一致し、今回の合弁解消に至ったという。なお、三菱重工とキャタピラー社は現在、三菱、キャタピラー両ブランドのフォークリフト販売など多方面で友好な関係にあり、それらは今後も維持される。
日本建設機械工業会の発表によると、1月の建設機械出荷金額は、内需は495億円で32.1%増加、外需は1,198億円で3.6%増加、総合計では1,693億円で10.6%の増加となっている。その結果、内需は10カ月連続の増加、外需は25カ月連続の増加、総合計では25カ月連続の増加となるなど、その市場は好調を維持している。平成24年2月度の日本建設機械工業会会長記者会見でも、2012年度は2011年度比で10%増加し、その市場は2兆2千億円台へ伸長するとの予測が発表されている。アジア等の新興国の需要だけでなく、北米などの需要も増加しており、この傾向はしばらく続きそうである。こういった市場動向の中、今回の合弁解消が両社にとって有益なものとなるのか、今後の動向が注目される。