被災地復興で深刻な大工など職人の人手不足

2012年03月12日 11:00

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これからが本番の住宅復興。大工などの職人不足が建設のスピードにも影響してくる。(2012年3月9日、石巻市にて撮影:北尾準)

 東日本大震災から1年。今も復興に向けて、被災地では懸命な努力が続いているが、現地では知られざる苦労に頭を悩ませる人々もいる。

 昨年、仮設住宅の建設が急ピッチで行われ、取りあえずではあるが、被災者達の”住”は確保された。だが、難航する用地確保や、行政との連携の悪さなどもあり、工期が遅れているエリアも少なくなかった。最優先であった仮設住宅の建設事業はこのような状況で行われていたために、実際の被害を受けた住宅復興は一部を除き、これからが本番を迎える。

 実際被災地では、復興需要により大工などの職人の人手不足が深刻で、完全な売手市場となっており、激しい人材確保の戦いが繰り広げられている。そのため、大工の賃金が高騰する傾向も見られ、企業体力のある大手と違い、地元に根付く工務店は頭を抱える。

 自身も被災者でありながら、地元の住宅補修や建て替えに奔走する宮城県東松島市の花坂ハウス工業は、人手不足のため他県の大工に仕事を依頼した際、賃金の大幅増額・経費の要求に困り、依頼を断るケースもあったという。このような状況ではあるが、同社は住宅メーカー、アキュラホームが主宰する全国の工務店ネットワーク「ジャーブネット」の会員だったことで、現在、同ネットワークのサポートを受けながら、万全の体制で地元復興に向け奮闘している。

 サポートする側であるアキュラホームは震災直後から、積極的に現地へ乗り込み、被災地及び周辺の「ジャーブネット」加盟工務店と連携し、仮設住宅建設の後方支援活動などを精力的に行ってきた。「今後も長期的に東北エリアの工務店と連携し、復興事業に積極的に参加していきたい」(同社広報部)とネットワークの強みを最大限に活かす方向で支援していくことを明らかにしている。

 様々な企業が復興需要に向け人材確保を積極的に行う様子を見ると、復調傾向と捉えられる部分も確かにあるかもしれない。しかし、その陰には人材不足という問題もあり、地元企業だけでは解決できない難しさが存在するのも事実だ。