「ゼロ回答」に乖離する情報次々、与党は応じよ

2017年04月01日 07:52

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安倍晋三総理も、菅義偉官房長官も国会答弁では、籠池理事長の要望には「ゼロ回答」と繰り返し強調しているが、国民の受け止めとは、かい離するばかり

 大阪市の学校法人森友学園への国有地払い下げをめぐる一連の問題で、森友学園の籠池泰典理事長(3月30日現在)が安倍昭恵総理夫人の携帯電話の留守電に国有地についての要望を吹き込んだとしていることに関連し、日本共産党は3月31日付け機関紙赤旗で「日曜版にスクープ証言」「昭恵さんにお電話いただいた件ですが」「首相夫人付き、籠池氏に電話」との見出しで、(1)首相付秘書が籠池理事長に「昭恵さんにお電話いただいた件ですが」と電話を入れ、これを受けて、(2)首相夫人付秘書へ籠池理事長から手紙が送付され(3)首相付秘書から財務省への問い合わせ後の回答ファックスが籠池理事長に送付された可能性が出てきたことが報じられた。

 記事では、「赤旗日曜版編集部の調べで分かった」と報じている。そこでは、籠池理事長を良く知る関係者の話として「関係者は『後日、首相夫人付から、昭恵さんにお電話いただいた件ですが』『急ぎのようなので、こちらに文書を送ってください』という感じで、籠池氏に電話がかかってきた、と証言しています」としている。

 そのうえで、「この証言が事実とすれば、手紙の送付に昭恵氏が関与していたのは明白」とし「それが出発点になり、首相夫人付が財務省に問い合わせたり、回答ファックスを籠池氏に送ったりしたとみられる」と推理している。

 そのうえで、機関紙は内閣総務官室のコメントとして「(首相夫人付の)私的な行為なので、答える立場にない、と回答している」と答えたことを伝えた。

 首相夫人付秘書(公務員)の籠池氏へのファックス回答については、日本共産党の大門実紀史参議院議員が3月28日の参院決算委員会で、昭恵夫人付き秘書に籠池理事長が国有地をめぐり要望した手紙のコピーを独自に入手したとし、その内容を提示したうえで、その要望に対し「満額回答になっている」と指摘した。

 満額回答の例では「土壌汚染などを理由に賃借料の月額227万円を50%引き下げてほしいとの要望に、土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとの回答ではあったが、結果的に、月額換算で100万円程度に賃借料が下がった」。

 また「2015年度予算での工事費立て替えの返金はどうなったかの問いに、2016年度で予算措置を行う方向で調整中と回答され、予算成立後、4月6日に支払いが行われていた」。

 安倍晋三総理も、菅義偉官房長官も国会答弁では、籠池理事長の要望には「ゼロ回答」と繰り返し強調しているが、国民の受け止めとは、かい離するばかり。

 国民の財産が適正に払い下げられたのか、想定外のゴミが埋まっていたので、8億円強を値引きしたとする算定に問題がなかったのか、不可解な点の解明には、やはり、籠池理事長が偽証罪を問われる立場で証言したように、昭恵氏にも、総理夫人として、国民の前で明確に、自らの潔白を証明することが道義的責任において問われている。もちろん、総理付秘書の谷査恵子さんら関係者も、真相解明に是非、国家公務員として国民のために事実を詳らかにして頂きたい。

 政府・自民党は国民に説明責任を果たすというのであれば、野党が強く求めている昭恵総理夫人らの証人喚問、財務省等の国有地売却に関連する資料の提出について、拒否するような真似をせず、積極協力することこそ、与党として責任ある態度だ。

 民進党の山井和則国対委員長は31日の記者会見で「森友問題に関する国民の疑問がこれだけ拡大しているにもかかわらず、資料要求すら拒否する」と批判。「政府・自民党・安倍総理一体で、真相究明を妨害していると言わざるを得ない」と厳しい姿勢で、国民の疑問に答えるべきだと訴えた。当然のことだ。(編集担当:森高龍二)