安倍晋三総理は平成29年度予算(一般会計の歳出規模97兆4547億円、5年連続して過去最大規模を更新)が成立したことを受け、27日、会見し「今回の予算は未来を拓く予算であります。無事に成立したことから、来月から雇用保険料率が下がり、働く皆さんの手取りが増えます。4年連続の賃上げとともに経済の好循環を力強く回し、デフレからの脱出速度を上げていきたいと思っている」と語った。
また「給付型奨学金制度が新たにスタートする。児童養護施設の子供たちなど経済的に厳しい学生たちが、意欲があれば大学や専修学校に進学できる道が拓かれることになる」としたほか「子育て支援もしっかりと行っていくことになる。今回の予算では保育士の処遇改善も一層進めていくが、待機児童ゼロを目指す決意は揺るがない」とし「6月までに次なる待機児童解消プランを決定する」と語った。
また、後半国会ではテロ等準備罪創設に向けた法案など重要法案の審議があるとして「緊張感をもって丁寧な説明を心がけていきたい」と語った。
ただ、民進党など野党4党は、テロ等準備罪は過去3回廃案になった「共謀罪」と性質は変わらないとして、反対している。民進党の野田佳彦幹事長は「思想や活動、内心の自由やプライバシー権など基本的人権を侵害する可能性が極めて高い。共謀罪をテロ等準備罪と呼び名を変えて提出した法案だ」と提起し「性質(たち)が悪いと言わざるを得ない。基本的な質問にまともに答えられない金田法相を厳しく質す」と対決姿勢を強めている。
また、学校法人森友学園への国有地払い下げをめぐる問題は、籠池泰典理事長に対する証人喚問で「ようやく幕が開いた」(野田幹事長)としており、不可解な点は拡大しているとして、追及を強めていく考えだ。
また、今回の予算成立での社会保障について、社民党の又市征治幹事長は「高齢化等に伴う社会保障の自然増が1400億円カットされたのは高齢者の暮らしの実態を無視した、高齢者や家族の負担増・給付削減への転嫁に他ならないと問題視しているほか、給付型奨学金制度の創設も29年度は「70億円と雀の涙にすぎない」と不十分だとしている。(編集担当:森高龍二)