最新に触れる健康セミナーとは

2012年03月12日 11:00

 全国各地で日々行われているセミナー。新入社員の研修用に企業が実施するものから管理職向けのもの、起業者向けのものや投資指南などといったビジネスに関連するセミナーが一般的であり、その市場規模は、企業向け研修サービスだけをみても2010年度で4630億円と決して小さくない。震災の影響で一時期は減少したもののビジネス関連以外にも、老後の過ごし方や生活設計に関するセミナー、子育て関連のセミナーや家づくりのセミナーなど、私たちの生活に関わる数多くのセミナーが実施されている。

 また、近年の健康志向・健康ブームを受けて、「健康セミナー」と銘打ったセミナーも各地で活発に開催されている。国立水俣病総合研究センターが開催する健康セミナーは25回を超え、骨粗鬆症や糖尿病からメンタルヘルス、やせるアイデアなど、幅広いテーマを取り上げている。全国に約160か所のスポーツクラブを持つセントラルスポーツも、「0歳から一生涯の健康づくり」を理念に、健康づくりセミナーや介護予防セミナー・禁煙ワンポイントセミナーなど、幅広い分野の健康セミナーを実施している。その他にも「美容+健康」のセミナーが開催されているなど、枚挙にいとまがない。

 また、健康食品会社による健康セミナーは、サプリメントや食習慣に関するものなど、様々な角度から捉えた個性的なものが数多く開催されている。昨年12月に山田養蜂場が開催した健康セミナーでは、「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」に採択された研究のうち、特に目覚ましい成果をあげた研究者による発表を一般の方に向けて行った。ローヤルゼリーの筋力低下抑制作用や、プロポリスとアカシア蜂蜜の患部への塗布が、水虫やアレルギー性皮膚炎の症状改善に極めて有効かつ副作用もないといったもの、蜂の子の聴力改善・耳鳴りへの効果など最新の研究結果が発表された。

 財団法人等による研究助成や健康セミナーは以前から数々行われているが、その研究成果の発表やセミナーは、専門性が高いためか研究者向けの発表や研修といった要素が強い傾向にある。しかし、最新の研究が、自らの生活や日常にどのような可能性を示してくれるのか、興味を持っている人は多いのではないだろうか。最新の研究成果が一般の人に還元されるセミナーは、非常に興味深い。産業分野では、車におけるモーターショーなどのように、最新の技術に一般の人が触れる機会が広く用意されている。医療や健康といった分野でもそういった機会が増えれば、企業や研究者だけでなく消費者にとっても、非常に有益なことではないだろうか。