三菱自動車が、タイ生産・販売会社であるミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)と複数のタイ地場銀行との間で、コミットメントライン契約を締結したと発表。契約総額は約650億円、契約期間は3年間で、現在同社が取り組んでいる中期経営計画「ジャンプ2013」の期間を越えるものとなる。
コミットメントライン契約とは、あらかじめ決められた期間・借入限度額の範囲内であれば、いつでも借り入れができる融資枠のこと。参加金融機関は一定の条件が満たされることを前提に、貸し出しを確約(コミット)する契約である。MMThはコミットメントライン設定によって、今後の事業強化に不可欠な資金を機動的かつ安定的に調達することが可能となる。なお、今回のコミットメントラインは、三菱自動車本体への資金融通を可能としていることから、三菱自動車グループ全体の流動性も補完することとなる。
三菱自動車は、タイに第3工場を建設し、新興市場を中心とした世界戦略車の拡充を、商品・地域戦略として掲げている。さらに、世界最大級の太陽光発電所を開発中であるタイのNatural Energy Development Co., Ltd.と新世代電気自動車『i-MiEV(アイ・ミーブ)』の実証試験に関する覚書を締結するなど、タイでの事業拡大を積極的に進めている。しかし昨年、タイの洪水影響により工場の操業停止を余儀なくされ、第3四半期の決算報告では、成長著しいアジア・オセアニア地域等において、売り上げは4440億円と前年同月比+78億円(同+2%)となったものの、営業利益は330億円と前年同月比-12億円となっている。コミットメントライン契約は、「安定的な運転資金の確保」と共に「不測の事態への対応手段確保」などにも有益な契約である。その為、資金調達の機動性の為だけでなく、昨年の様な事態に対応する為にも、有効な契約と言えるであろう。