現在、AIやIoTなどのデジタル技術がビジネスや社会に組み込まれることで、人々の働き方や日々の生活などに革新的な変化を引き起こすデジタル革新が世界中で実現しつつある。このようなデジタル革新における企業の取り組み状況や、デジタル革新を推進するために必要なパートナーシップや成功要因、課題などを明らかにするため、富士通<6702>は2017年2月に「グローバル・デジタル革新調査」を実施し、その調査結果を公開した。
この調査は世界15カ国の経営層およびそれに準ずる意思決定者(ビジネス・リーダー)1,614名を対象とした。それによると、ビジネス・リーダーの89%が、属する企業や組織において、デジタル革新へ向けた取り組みを開始していると回答している。その進捗状況は検討やトライアルの段階のみではなく、具体的な成果を目指した実行のステージに入っており、34%のプロジェクトにおいて売上増加や顧客との関係強化などの成果を挙げている。
デジタル革新へ向けた取り組み状況を分野別に見ると、業務においてはマーケティング(38%)がトップであり、次いでワークスタイル(35%)、運用保守(30%)の分野で多く取り組まれている。また、業種専門領域では、金融・保険(51%)や医療・福祉(51%)に次いで、製造分野において、デジタル革新に関するより多くの取り組みが行われている。
デジタル革新による具体的な成果のトップ3は、売上の増加(46%)や顧客との関係強化(44%)、商品競争力強化(36%)であり、デジタル革新がビジネス成長に貢献し始めていることが確認できたとしている。
デジタル革新で成果を上げるためには、スキルを持った人材の確保(19%)や、リーダーシップの発揮(18%)、革新に対応できる組織やプロセスの整備(17%)が重要な要因だという結果が得られた。これらに加えて、デジタル革新の実現にあたっては、技術力だけでなく、ビジネスを理解し、ビジョンや戦略の親和性があるテクノロジー・パートナーとの共創が必要であるという結果が得られた。
また、ビジネス・リーダーの77%がAIを大きな機会であると捉えており、具体的には、将来的に人の能力を拡張できると考えているなど、AIに大きな期待を寄せている。
ビジネス・リーダーは、デジタル時代に人が最も強化しなければならない能力は、デジタル技術に関する専門知識(18%)に加えて、発想力や創造性(17%)などが必要であると捉えているという。デジタル革新を実現するためには、それらの能力を持ったデジタル人材の育成や、確保が重要だという結果が得られた。 (編集担当:慶尾六郎)