震災前の市場をけん引していたといえる炭酸飲料水であるが、ゼロ系飲料のブームに陰りが見え、富士経済の見込みなどでも、その減少が予想されている。そんな中、果実・野菜飲料などは依然衰えない健康志向の下支えを受け、大きなブームとはなっていないものの、堅調に市場を伸長しているようである。特に100%果汁飲料は本格志向をもつ人の増加もあり、低価格品の需要が順調。さらに野菜飲料は、近年増えている200ml以下の飲みきりサイズが「1本で1日分の野菜が摂れる」などの手軽さから需要を獲得。また、セット売り等も一定の消費者を獲得し、今後も需要が高まると予想されている。
近時発表された飲料品の新商品を見ても、雪印メグミルクも近年伸長している紙パック野菜系飲料市場に「野菜のおいしさにこだわった、摂りたい野菜で選べる野菜系飲料」をコンセプトとした『農協 野菜Days(デイズ)』シリーズを3月から投入。「今日の1杯野菜100%」や「野菜&フルーツミックス」など、5フレーバー11アイテムをラインナップして販売拡大を図っている。また、醤油のイメージが強いキッコーマンからも「フルーティトマト」「スイートキャロット」に200ml紙パックを3月12日より発売。飲みきりサイズの更なる伸長を見込んだ新商品投入といえるであろう。
さらには、化粧品やスキンケアをメインとするポーラが、にんじんをはじめ5種類の野菜をブレンドし、ベータカロテンたっぷりで美容と健康をサポートするジュース『にんじんと野菜の濃厚(のうこう)しぼり』を4月から発売をすると発表。こちらも1本190gと飲みきりサイズでの発売となっている。そのほか、清涼飲料水には分類されないものの認知度高さや味の改善などから、青汁が2009年度以降順調にプラス成長をしている。
こうした動向を見ていると、コーヒー飲料や炭酸飲料などに見られた一時的な嗜好ブームに左右されない果実・野菜飲料は市場が堅固で、メーカー各社も攻勢に出ているようである。手軽さや原材料が重視される果実・野菜飲料の分野は、今後、清涼飲料水市場の動向ではなく、健康食品市場動向に類似していくのかもしれない。