総合不動産サービス大手のJLLがまとめた投資分析レポートによると、2017年第1四半期の世界の商業用不動産投資額は、速報ベースで前年同期比2%減の1,340億ドルとなった。
日本の2017年第1四半期の投資額は、前年同期比16%増の111億ドル(円建てでは前年同期比15%増の1兆2,600億円)となった。JLLは、2016年の世界の商業用不動産投資額の見通しを約6,500億ドルとしている。
世界的に政情不安が高まる中、2017年第1四半期の世界経済は予測よりも好調だったものの投資額は若干減少し、商業用不動産投資額は速報ベースで前年同期比2%減の1,340億ドルとなった。
アメリカ大陸の投資額は、アメリカの投資活動が減少したことを背景に、前年同期比10%減の550億ドルとなった。EMEAの投資額は、他地域の投資額が減少する中、前年同期比6%増の530億ドルとなった。イギリスにおいては、EU離脱に対する不透明感が弱まってきたこともあり、投資額は現地通貨で2015年第4四半期以来の増加となった。アジア太平洋地域の投資額は前年とほぼ同じペースで推移し、前年同期比横ばいの250億ドルとなった。
日本の2017年第1四半期の投資額は、前年同期比16%増の111億ドル(円建てでは前年同期比15%増の1兆2,600億円)となった。世界的に投資額が減少する中、日本の投資額は前年比で増加を記録した。
安全資産と認識される日本国内の商業用不動産に対する国内外投資家の投資意欲は依然として高い。一方、低金利によるリファイナンスの増加や売手買手間の希望価格のかい離を背景に物件の市場供給は引き続き限定的である。このような状況の下、ここ数年続く価格上昇サイクルの中で現在を売り時と考えるオーナーは徐々に増加してきている。また東京湾岸エリアや横浜エリアで大型オフィスの売買が相次いだこともあって今四半期の投資額は前年比、前期比ともに増加となった。
低金利を背景に上場リートによる物件の取得が依然として堅調である。また、今四半期は市場供給物件の増加によって私募ファンドや不動産会社による取得額も増加した。また、同様に海外投資家による投資額も前年比で増加となった。
通年の世界の商業用不動産投資額は、約6,500億ドルと予測している。今後も好調に市場が推移すれば、通年予測額を引き上げる可能性もあるとしている。(編集担当:慶尾六郎)