不動産投資の情報サイト「 健美家 」が、東京在住者の一棟マンションに対する投資傾向をまとめた。 同サイトの新規物件へのメールの反響数を集計した結果、東京への一極集中から、全国に分散しつつある状況が浮かび上がった。
この調査は、健美家のユーザーのうち東京に在住している会員が、どのエリアの物件に対して問い合わせを行なったかを統計したものだ。それによると、2012年には30.1%を占めていた東京の物件に対する問い合わせが、16年には24.0%にまで減少。さらに東京を除く首都圏(神奈川・千葉・埼玉)の物件についても、31.4%から21.3%にまで減少した。
つまり、12年には61.5%もの割合を占めていた首都圏の投資物件への関心が、16年には45.4%にまで落ち込んだこととなる。この背景には、首都圏の物件価格の高騰と利回りの低下があると見られている。
健美家に登録されている東京の一棟マンションの価格帯は、平均で2億円前後、利回りは5~6%がボリュームゾーンとなっている。対して周辺の神奈川・千葉・埼玉の平均価格帯は1.5億円前後となっており、利回りは6~8%がボリュームゾーンとなっている。この比較だけでも、東京への投資の一極集中が進みすぎた結果、物件価格の高騰と利回りの低下を招いてしまったことがうかがえる。
以上のように、首都圏に集中していた不動産投資マネーは、徐々に全国へと分散し始めている。首都圏(1都3県)を除く地域の1棟マンションの価格帯は、平均して1億円台が多く、利回りは7%~9%がボリュームゾーンとなっている。首都圏よりも低価格な上に、利回りも1~2%高くなるため、効率的な投資対象と見た投資家が、地方にも目を向け始めていると言えよう。この調査の対象となったのは東京在住の投資家だが、地方在住の投資家の傾向も含めれば、地方の投資物件への注目度はさらに高まっていると見られる。
投資対象となる不動産物件の価格と利回りは、その需要によって変動する。健美屋は別途「東京23区のマンションの投資利回り平均」も調査しており、それによると、16年は15年と比較して、低利回りのエリアが倍以上に拡大した(平均5%台の区が3区から7区に増加)。主な原因は、当該区の多くで再開発が行なわれたためと見られているが、これも投資マネーの地方分散の要因となったと思われる。(編集担当:久保田雄城)