72.2%の企業が人材確保について何らかの取り組みを実施

2017年04月24日 07:12

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より良い人材を採用するために、2016年4月以降で新たに取り組み始めたことがあるかどうかを尋ねたところ、「何もしていない」と回答した企業は 26.2%にとどまり、72.2%の企業が何らかの取り組みを実施していることがわかった(未回答 1.6%)

 3月1日に、2018 年卒業予定者の新卒採用活動が解禁され、大手企業を中心に各社のエントリー受付や採用活動のための企業説明会開催がスタートした。1980年代後半のバブル期、2000年代半ばの好況期に続く「超・売り手市場」とされる現在の就職/採用活動は、短期的な求人状況の好転だけでなく、少子化に伴う中長期での若年層減少が現実のものとなりつつあるなかで、一部では「採用氷河期」が到来しているとも言われている。特に、中小企業を中心に採用困難な業界や職種、地方では、すでにこの波が直撃しているともされ、人材獲得を経営課題ととらえる企業は急増している。そこで、帝国データバンクは、人材採用に関する新たな取り組みの状況、企業が求める人材像に関する調査を実施した。

 まず、より良い人材を採用するために、2016年4月以降で新たに取り組み始めたことがあるかどうかを尋ねたところ、「何もしていない」と回答した企業は 26.2%にとどまり、72.2%の企業が何らかの取り組みを実施していることがわかった(未回答 1.6%)。規模別では、大企業で取り組みのある企業が82.3%と8割を超えるのに対して、中小企業では69.5%、なかでも小規模企業は59.7%と規模が小さくなるほど「取り組みを実施している」企業の割合は下がり、企業規模によって取り組み方に違いがあることがわかった。

 業界別では、「取り組みを実施している」企業の割合が 70%を超えた業界は6業界あった。最も高かったのは運輸・倉庫業(81.0%)で、以下、建設業(79.8%)、農・林・水産業(77.6%)、小売業(76.7%)、サービス業(75.3%)、製造業(73.6%)が続く。

 一方、最も低かったのはその他を除くと不動産業(55.5%)だったが、それでも50%を超えており、いずれの業界でも人材確保のために何らかの取り組みを行う企業が多いことがわかった。ゼロ金利を背景にした投資ブームに沸く不動産業も採用には積極的だが、2016年12月の職業別有効求人倍率において「自動車運転の職業」が2.70倍(全体では1.36倍)という高水準に達するなど、宅配トラックを中心に運転手不足が続く運輸業界では、人材確保をより切実な問題としてとらえていることがこの結果からも裏付けられた。

 新たに始めた取り組み内容のうち、選択率が最も高かったのは「賃金体系の見直し」(46.6% 複数回答可、以下同)で、人材確保のために何らかの取り組みを行っている企業の約半数が選択するなど、群を抜く結果となった。次いで、「就業制度の充実 」(23.5%)、「採用情報の発信 」(21.3%)、「福利厚生制度の充実 」(20.9%)、「自社採用ホームページの公開、リニューアル 」(20.8%)の4つがほぼ横並びで続いた。(編集担当:慶尾六郎)