株式会社総合企画センター大阪がまとめた「2017年 アンチエイジング化粧品の市場分析調査 ―ターゲットの細分化:“顔印象ケア”と“特定部位ケア”の深耕―」によると、2015年度のアンチエイジング化粧品市場は3205億円。前年度比3.4%増と好調に推移していることが分かった。主な要因としては、景気の安定とインバウンド需要によって、百貨店で展開するカウンセリング系ブランドを中心に売上が伸びていることを挙げている。また、2016年度は過去5年で最も高い伸長率になると見込んでいることからも、2017年度も市場は継続して好調を維持しそうだ。
メーカー各社の動きとしては、高価格帯商品の充実や売り場の拡大、また、団塊の世代を中心としたシニア層や、エイジング意識が高まっている年代をより細分化したブランド・シリーズの展開などを行って、取り込みを図っている様子だ。
商品面の特徴としては、幹細胞や線維芽細胞、白血球、ホルモンなど人体組織に働きかけて顔の印象を改善するアプローチが多様化している一方、天然由来成分や最先端技術を応用して、ハリやシワ、ほうれい線などに向けたアイテムの増加がみられ、新製品も続々と販売されている。
天然由来成分を原料とした化粧品としては、株式会社 山田養蜂場が構想から11年もの歳月をかけて開発した「アミノ酸リッチローヤルゼリーエキス」 を配合した、美容液「RJエッセンスEX(エクセレント)」を4月5日に発売し、話題を呼んでいる。良質な健康食品としても知られるローヤルゼリーだが、従来のローヤルゼリーエキスは、安定化のためタンパク質が取り除かれている。しかし、そのタンパク質の中にも大切な有効成分が含まれていることから、同社ではそれらも余すことなく活かすため「高圧酵素処理によるローヤルゼリータンパク分解技術」を用いて、世界で初めて「アミノ酸リッチローヤルゼリーエキス」の開発に成功したという。「アミノ酸リッチローヤルゼリーエキス」には、同社の従来のローヤルゼリーエキスの約2倍のアミノ酸が含まれており、肌のバリア機能に欠かせない成分「インボルクリン」の産生を高め、肌のバリア機能を強化する機能や、加齢による黄ぐすみの原因となる「糖化物質(AGEs)」の産生を抑制し、透明感のある肌をもたらすなど、新しい機能が認められ、とくに「ハリ」「小ジワ」「たるみ」などの悩みに応える美容液になっているという。
乾燥がもたらす肌トラブルの改善には、1月にはポーラが医薬部外品「リンクルショット メディカルセラム」を発売している。同製品はとくに、「シワ」へ積極的にアプローチした商品となっており、これが引き金となって、今後、「乾燥シワ」「加齢しわ」「光老化シワ」など、シワに焦点をあてた商品が市場に増えるのではないかと予想されている。
また、エイジングケア化粧品市場の火付け役となった「プリオール」を展開する資生堂も今年、有効成分・純粋レチノールによる「シワを改善する」効能効果の承認を日本で初めて取得。「資生堂表情プロジェクト」と題して、シワの対策と改善に積極的に取り組む姿勢を見せている。
株式会社富士経済が発表したアンチエイジング市場の市場規模は、2016年は6666億円の見込み。2017年予測では6838億円となっている。女性の美と若さへの欲求は、まだまだ衰えることはなさそうだ。(編集担当:石井絢子)