水素燃料関連市場は2020年度頃から本格化 2030年には5,903億円に

2017年06月09日 07:25

 まず、水素燃料、R水素製造装置、水素輸送関連(大規模水素輸送、輸送用容器)、水素ステーション、簡易型水素ステーション、水素利用関連(車載用高圧容器、車載用水素センサー、水素発電システム)の各市場を対象とした。国内市場は、2015年度に184億円となった。2014年度より商用の先行整備が開始された水素ステーションが市場の大半を占める。今後は水素ステーションの増設や燃料電池車普及進展、水素燃料の大規模輸入や国内流通の増加、水素発電の導入などにより、2020年度頃から市場は本格化し、2030年度には2015年度比32.1倍の5,903億円が予測される。

 今後は、燃料電池フォークリフトや燃料電池バスの販売が本格化する。また、燃料電池車は車種が増加して2030年度の販売台数が年間20万台以上、普及台数が90万台近くに拡大するとみられる。燃料電池車などの普及とともに水素ステーションの需要が拡大し、2030年度の水素ステーション開所件数は220件、市場は387億円が予測される。

 次の調査は燃料電池車や水素発電向けに燃料として使用される水素を対象とする(産業分野や宇宙分野向け、オンサイト製造での自家消費分は対象外)。市場は、2014年度に水素ステーションの先行整備が開始され、また、2015年度には燃料電池車がトヨタ自動車、本田技研工業から発売され、供給と需要の環境が整ったことで拡大しはじめた。需要は当面先行する燃料電池車向けが中心となるが、燃料電池フォークリフトや燃料電池バス販売の本格化、2017年度には水素発電の実証稼働が予定されるなど、様々な需要が期待できる状況となってきている。

 2020年度の市場は、90MW級の水素発電所の実証稼働が予定されていることから水素発電向けが急増し、195億円が予測される。この発電所の稼働により、水素発電向けが燃料電池車向けや、半導体やガラス・金属加工業など産業用水素市場(水素燃料関連市場の対象外)の規模を超え、2025年度には870億円まで拡大する。海外からの水素の大規模輸入が始まり水素単価は下落するものの、市場は拡大し続け、2030年度には1,472億円が予測される。

 ここでは水素ガスを燃料とする発電システムを対象とする(工場で発生する副生水素による水素発電や、再生可能エネルギー由来の電力を用いて水電解を行い発生させた水素による発電は対象外)。2017年度に1台(2MW×1台)、2020年度には1案件3台(30MW×3台=90MW)の発電システムの実証稼働が予定されている。中長期的には30MW級の発電システムが主流になるとみられる。

 今後は、2030年度までは自治体による分散型電源や水素コージェネレーションシステムとしての水素発電の導入が中心になるとみられる。自治体では人口減に対応するため、コンパクトシティを含めた都市計画を再整備する局面に入っており、地域計画と合わせた導入が期待される。2030年度以降は、民間企業による水素発電事業としての導入へと移行すると予想される。(編集担当:慶尾六郎)