トヨタの水素活用加速。今度は元町工場にハイブリッド発電システム設置

2017年04月29日 10:24

Toyota  Hybrid FC

トヨタが愛知県豊田市の元町工場敷地内に設置した固体酸化物形燃料電池とマイクロガスタービンを組み合わせた加圧型複合発電システム(ハイブリッド発電システム)

 トヨタの水素社会実現に向けた実証実験が急加速している。同社は1990年代から、水素を将来の有力なエネルギーと位置付け、水素社会実現に向けた取り組みとして燃料電池車(FCV)の開発を進めてきた。一昨年発売した「MIRAI」が、ひとつの回答であり。東京都営バスに燃料電池バス(FCバス)を納入、東京オリンピックまでに、都内で200台以上のFCバスを定期運用するというのも同社の回答だ。

 また、水素を将来の有力なエネルギーと位置付けた、その一環として先般、トヨタは、米カリフォルニア州ロサンゼルス港で、FCシステムを搭載した大型商用トラックの実証実験を開始すると発表したばかり。

 今回、そのトヨタが、固体酸化物形燃料電池とマイクロガスタービンを組み合わせた加圧型複合発電システム(ハイブリッド発電システム)を、愛知県豊田市の元町工場敷地内に設置し、実証運転を開始したと伝えてきたのだ。「開始する」のではない、すでに「開始している」のだ。

 今回の実証事件は、ハイブリッド発電システムを工場の自家発電設備として使用し、エネルギー効率、運転性、耐久性を検証・評価することを目的としている。

 ハイブリッド発電システムは、天然ガスを改質して取り出した水素と一酸化炭素を使い、燃料電池とマイクロガスタービンのそれぞれで発電する二段階の発電機構を採用している点が特徴だ。定格出力は250kW。加えて、発電で生じる排熱を、エネルギーとして活用するコージェネレーション(熱電併給)を採用している。

 二段階の発電により、高い発電効率(55%)を達成するとともに、コージェネレーションの採用により、総合効率(65%)と高めており、低炭素社会実現に向けた有効な技術と位置付けられる。なお、発電された電力と排熱は、元町工場内で使用する。

 今回導入したハイブリッド発電システムは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「円筒形SOFC-マイクロガスタービンハイブリッドシステムの市場投入に向けた技術実証」の一環として実施するもので、トヨタおよびトヨタ子会社である株式会社トヨタタービンアンドシステムと三菱日立パワーシステムズ株式会社が共同開発した。

 トヨタは、今回のハイブリッド発電システムの導入と実証結果などを踏まえ、工場内での効率的水素活用技術の開発と導入を進め、2015年に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」のひとつである、「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向け、工場CO2排出量低減の取り組みを着実に進めていく。(編集担当:吉田恒)