「政府からお知らせします。弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合『Jアラート』を通して屋外スピーカーなどから国民保護サイレンと緊急情報が流れます。屋外にいる場合、頑丈な建物や地下に避難してください。近くに建物がない場合、物陰に身を隠すか、地面に伏せて、頭部を守ってください。屋内でいる場合は窓から離れるか、窓のない部屋に移動してください。お問い合わせは内閣官房、消防庁、お近くの自治体へ」
政府広報の中でも、なぜ、この広報に3億円もの税金を使う必要があったのか、国会閉会後も強まる学校法人加計学園への獣医学部新設を巡る疑惑へのマスコミ報道に、政府広報という名のマスコミ「飴」対策が行われたのではないのかと疑ってしまう広報だ。
上記の「政府からお知らせします」で始まる政府広報は6月23日から今月6日まで全国でテレビCMされた。広告費は民放43局で総額1億3000万円。新聞は70紙に掲載され、1億3000万円。さらにネット広告にも8000万円使っており、総額3億4000万円にのぼる。
不思議に思うのは、国民の安全を守るために上記内容を喫緊に周知しなければならない情報とすれば、菅義偉官房長官が月曜日から金曜日まで毎日午前、午後に記者会見しており、稲田朋美防衛大臣と高市早苗総務大臣も閣議の後の記者会見を週に2回開いているわけだから、その旨を記者団に語り、まさに国民の身の安全のためだから「CM」を打たなくても「公器」としての役割を担うマスコミなら、政府が発表したとして伝えるだろう。
今回の政府広報については自民党からの申し入れがあったのを受けてのものという一部報道もある。マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番、と言った議員も自民党にいたが、今回は「政府広報」にのっけた「飴」対策ではないかと「ゲスの勘繰り」をしたくなる。
メディアへの対策は歴代政権ともに大なり小なりしていただろう。ただ安倍政権になって『飴と鞭』が特に感じられるようになった。国際NGO「国境なき記者団」の報道自由度ランキングで、民主党政権時代、世界178カ国・地域の中で日本は11位まで上昇していた。安倍政権になって180カ国・地域中、2017年度、72位まで大幅下落した。
メディア批判を続けるトランプ政権下でも米国は43位にあるのに。最下位は北朝鮮。メディアはCMという政府広報の飴には自身の目で受注するかどうか、より厳しく見極めることが必要だ。政府が嫌がる疑惑追及をしなければならない時には、特に政府や政権与党から有料広告の依頼には、内容とタイミングを見極めた対応が緊要だ。(編集担当:森高龍二)