ミスドからキッチンが無くなる?構造改革の行方

2017年07月16日 14:27

画・ミスト_からキッチンか_無くなる?構造改革の行方

日本経済新聞がダスキンは2020年度までに、「『ミスタードーナツ』の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめる」と報じた

 今年2月、日本経済新聞はダスキン<4665>は2020年度までに、「『ミスタードーナツ』の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめる」と報じた。これまでの店内調理形式の店舗を順次廃止、今後は限られたスペースで展開する喫茶店形式、持ち帰り専門店の新業態への切り替えを進める方針だ。店内調理の廃止により、人件費、維持費用などの設備費を抑えることができ、大幅な経費削減となる。もともとは“できたて”のドーナツで一世を風靡したミスドだったが、時代の変遷とともに業態転換とコスト削減の必要性が浮き彫りとなった。

 近年ミスドはオープンキッチン、カフェスタイルの内装、主力製品を値下げし100円セールを廃止するなどの高付加価値型を目指す路線を示しており、15年4月には「ひと味違う、つくりたてのドーナツを食べられる」という、食感を工夫した新製品と、手づくりや揚げたてのイメージを強調する高級路線戦略を打ち出し、商品のテコ入れを行っていた。15年頃から本格参入したコンビニドーナツの脅威に対しても、ミスドは一貫して“手作りによる強み”を強調してきた。ミスドは“できたて”を捨てたわけではない。業態を細分化しそれぞれに特化した業態へと進化させる戦略だ。ミスドの特徴の一つとして、「イートイン」と「テイクアウト」を併設し、それぞれが異なる業態として機能している為に問題が複雑化している側面がある。「イートイン」をカフェ業態としてみると、都内中心にビジネス客に特化し主要顧客としているドトールなどと比較した際、後手に回っている感覚は否めない。創業当時の1970年代とそう変わらないミスドのターゲット層が曖昧さを生み、売上低迷の一因となっている。その一方で、「テイクアウト」は土産消費がメインとなる業態で、いかにアクセスしやすく、帰宅時など手軽に購入できるかが鍵となる。現状両側面ともに一歩突き抜けておらず、中途半端感がある。

 売上は長年低迷しているが、新商品開発、店舗戦略を進め、ミスドは今、変わろうとしている。店舗改装を進めるのと同時に、16年11月よりテイクアウト専門店「Mister Donut to go(ミスタードーナツ トゥゴー)」の展開を開始。消費者との接点を増やすため、駅ナカ・駅チカなど人通りの多い場所に200店舗を目処に出店する計画だ。「テイクアウト」に特化した業態で、従来のミスドに“ギフト要素”をプラス、気軽に持っていける差し入れとしてアソートセットがワンコインで購入可能となっていおり「可愛い」「安い」「手軽」を実現したかたちだ。

 今後は、新しい価値を提供する取り組みとして、「misdo meets」を開発テーマとし、“最高水準の素材と技術”をもった他社との共同開発商品も積極的に行っていくという。ミスドの「イートイン」業態はコーヒーなどのメインとなるメニューに尖った特長がないという指摘もあり、他社との共同開発や連携企画など外部ソースをうまく取り入れた自社メニューの基礎力向上にも期待が高まる。今後もドーナツ市場から目が離せない。(編集担当:久保田雄城)