中国インフラ投資で、日本に追い風? 建機業界復調の兆し

2017年02月25日 20:14

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今の中国経済は、2016年から中国政府が積極的に推進しているインフラ投資に支えられている。3兆元の予算が投入され、住宅建設や造船、原子力発電などを手掛ける国有企業を使って投資を回復させることに成功した

 三井住友アセットマネジメントが2016年12月に公開したマーケットレポートでは、17年の中国経済は前年比+6.5%の経済成長が予想されている。しばらく続いていた景気減速も落ち着き、中国経済は持ち直しつつあるようだ。中国政府と共産党が年に1度、翌年の経済政策運営の方針を決める目的で開催する中央経済工作会議では、経済の安定が最優先に置かれ、構造改革の推進と不動産バブルの抑制が主題となった。

 今の中国経済は、2016年から中国政府が積極的に推進しているインフラ投資に支えられている。3兆元の予算が投入され、住宅建設や造船、原子力発電などを手掛ける国有企業を使って投資を回復させることに成功した。そのお陰で製造業や建機企業なども復調しつつある見通しだ。昨年末には、幹線道路の5000キロ延伸や水路のプロジェクトに計1兆8000億元(約30兆円)を投じることを中国交通運輸省がウェブサイト上で発表するなどして話題となっている。

 中国に進出している日本企業もその恩恵を受け始めているようだ。

 例えば、建設機械で中国進出を果たしている日本企業としては、コマツや日立建機などの名前が挙がるが、コマツは16年4―12月期連結決算で、中国売上高が579億円で前年同期比20.1%増となることを発表、同じく日立建機も前年同期比11%増の395億円と、いずれも増収を示している。中でも好調なのが油圧ショベルで、日立建機は10月時点で2万2000台としていた現地での油圧ショベル需要を年末には3000台増の2万5000台に上方修正している。3年近く低迷していた中国の建機業界に、ようやく追い風が吹き始めたようだ。

 自動車用防振ゴム・ホース部門で国内トップシェアを誇る住友理工も、そんな企業の一つだ。同社は国際競争の激化、経営環境の変化に対応するべく、グローバル展開を積極的に推進しており、現在世界23ヵ国に105拠点を設けている。中国においても17拠点を設置しており、その中でも2014年に上海市に設立された「住理工化工産品(上海)有限公司」は、、産業用ホース、化工品及び周辺製品の販売・輸出入業務を取り扱っていることもあり、中国のインフラ投資拡大につれて順調に需要を伸ばしているようだ。

 一方で、中国の強引な政策を懸念する声もある。国有企業の投資は急増している反面、民間の固定資産投資は未だ減少傾向にあることや、過剰設備や過剰債務に対するリスクも不安要素として残っている。神戸製鋼グループのコベルコ建機などは、ショベル需要の回復は見込みながらも、販売台数の増加よりも、中国での債権管理と債権回収の重視を徹底することを方針に掲げている。追い風には上手く乗りたいが、しばらくは様子を窺いながらというのが、現時点での日本の関連企業の本音かもしれない。(編集担当:石井絢子)