リコー<7752>がデジカメ事業で100億円の減損を発表。スマホの普及で飽和するデジカメ市場について、減損を行い今後デジカメ事業の抜本的な改善を図る考え。
リコーは2011年7月にHOYAよりペンタックスのデジカメ事業を買収することで、デジカメ事業を強化。しかしながらスマホの予想を超える普及を背景に、近年はデジカメ事業で苦戦。その結果、ペンタックスの買収に伴い資産計上していた固定資産について、国際会計基準(IFRS)に基づき減損テストを行った結果、買収当初に想定していた収益を見込むことができなくなったとして、100億円の減損損失を17年3月期決算で計上するに至っている。
100億円の減損計上の結果、リコーの17年3月期決算は当期純利益100億円の予想を80億円にまで引き下げ。尚、リコーは本業の複写機事業においても市場の飽和を背景に、リストラを含め事業構造の見直しに着手している。デジカメ事業の減損決定以前に、同社は既存事業での構造改革により大幅な減益を予定しており、17年3月の当期純利益は前期の629億円より大幅に減益(100億円)となる計画であった。デジカメ事業の減損は17年3月期の減益に拍車をかける結果となっている。
デジカメ事業についてはリコーに限らず、デジカメ大手のニコン<7731>も販売台数の減少に見舞われ苦戦、人気機種の発売中止を行うに至っている。またキヤノン<7751>についても複合機及びデジカメと言った既存事業を維持しながらも、成長を期待できる医療事業他の新規事業に注力する状態となっている。
製造に手間のかかる光学部品を多数利用するため、日本メーカーの独壇場と言われたデジカメ市場も、高性能なカメラを搭載のスマホの世界的な普及に苦戦を強いられている。これまで拡大を前提で進められてきた各社のデジカメ戦略は、リコーやニコンの苦戦もあり今後方向転換を迫られることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)