グアムへのミサイル 日本迎撃は北へ宣戦布告に

2017年08月14日 07:11

 北朝鮮がグアムの米軍基地包囲作戦で中距離弾道ミサイル4発を同時発射した場合、小野寺五典防衛大臣は10日の閉会中審査で「米国の抑止力(打撃力)の欠如は、日本の存立危機にあたる可能性がないとは言えない」と、集団的自衛権行使・新3要件を満たせば、グアムに向かう北朝鮮ミサイルを撃ち落とすことを可能としたことに、民進党の小西洋之政調副会長(安全保障担当、参院議員)は13日までのツイッターで「グアムへのミサイル迎撃は北朝鮮への宣戦布告となり、次は東京や原発地帯がミサイル攻撃に襲われる」と危険を指摘した。

 そのうえで「これこそ本当の『存立危機』だ」とし「国民は何時、こんな決定を安倍内閣に委ねたのか。違憲」と政府が慎重にも慎重な対応をとるよう提起している。

 日本は安倍政権の下で集団的自衛権行使に道を開いてしまった。従来は、武力行使ができるのは「我が国に差し迫った不正侵害があり、排除には他に適当な手段がない場合に限られ、その場合も必要最小限の実力行使に留まるべき」としてきた。つまり集団的自衛権は有するが、行使できないとする立場を堅持し、平和を維持してきた。

 これが、安倍政権下で憲法の解釈が変更され「我が国に対する武力攻撃」のみでなく「我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃であっても、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合で、排除には他に適当な手段がないときはこれを認める。その実力行使は必要最小限度にとどまるべき」とした。

 米国に向かって飛翔する北朝鮮のミサイルが米国を威嚇する目的で、単に日本上空を通過するだけのものであったとして、日本がこれを撃ち落とせば、日本の実力行使による北朝鮮への宣戦布告になる。まさに集団的自衛権行使容認で「日本が戦争に巻き込まれるリスク拡大」を示すものになっている。しかも、発射された場合、撃ち落とすに該当するケースかどうかを国会で議論することは不可能で、日米同盟は「血の同盟」とし、安保条約の「片務性」解消をめざす安倍総理の下で判断が下されることになることがリスクをより高めている、といえそう。(編集担当:森高龍二)