小野寺五典防衛大臣は10日の衆院安全保障委員会(閉会中審査)で、北朝鮮の朝鮮中央通信がグアムの米軍基地を包囲する中距離弾道ミサイル「火星12」を4発同時に発射する包囲射撃の準備を8月中旬までに完了すると報じていることを受け、ミサイルを発射した場合、島根・広島・高知の上空をミサイルが飛翔するが、日本はこのミサイルを撃ち落とせるのかを聞かれ「米国の抑止力欠如は日本にとって存立の危機にあたる可能性がないとは言えない」と答えて、「集団的自衛権行使の新3要件を満たす場合」撃ち落とすことができるとした。
民進党の後藤祐一議員の質問に答えた。後藤議員は「北朝鮮がグアムに向け火星12を4発同時に発射し、何らかの事由で、日本に落ちてくる場合、撃ち落とせるか」と質問。小野寺大臣は「防衛省、自衛隊は、様々な事態に対して、しっかりと対応できるように、常に防衛態勢を整えている」とした。
後藤議員は「グアムを狙っている場合、(通常より角度をあげて高く打ち上げる)ロフテット方式だと日本に落ちる、通常の打ち方だとグアムに届くことになる。打った段階ではどちらか分からない。また、現行ではグアムに届くミサイル高度では、日本は撃ち落とせない。SM3ブロックⅡAが配備されないとできないと聞いている。SM3ブロックⅡAが配備された場合、日本はグアムへ向かうミサイルを撃ち落とせるのか。集団的自衛権行使にあたる可能性がある。法的にどうなのか」と質した。
小野寺大臣は「集団的自衛権行使の3要件に触れる話だと思っている。我が国にとって、これが存立危機事態になり、安保法制に基づく新3要件に合致するということになれば、対応できることになる」と答えた。
後藤議員は「北朝鮮のミサイルがグアムに向け発射されることと、これにより、我が国の存立が脅かされる危機との因果関係は」と質した。
小野寺大臣は「個別具体のことへの答弁は控える」としながらも、一般論として「日本と米国との役割分担があり、日本は防衛に対しては『盾』の役割(攻撃に対してしっかり守る)、攻撃してくる相手に対して、しっかりとした打撃力を持って抑止力を高めるという(打撃力での抑止力の)役割が米側の役割になる」とし「日米両方の抑止力があって、日本の防衛の抑止力が高まると考えると、日本の安全保障にとって、米側の打撃力が欠如するというのは、日本の存立の危機にあたる可能性がないとはいえない」と答えた。(編集担当:森高龍二)