制裁強化に「石油禁輸」慎重な対応が必要

2017年08月31日 06:42

 弾道ミサイルや核開発を続ける北朝鮮が開発中止へ相談のテーブルに乗るよう、当分、圧力を強化する必要があるとして、制裁強化の姿勢が打ち出されているが、政府からも、野党民進党議員からも「石油禁輸」が口に出ているのは、良策なのかどうか、駆け引き材料として、追い込み過ぎは返って危険拡大にならないか、慎重さも求められている。

 菅義偉官房長官は30日の記者会見で安保理決議を受けての制裁強化に「どのような圧力が最も効果的か真剣に検討したい、石油も選択肢の一つ」と選択肢にあげた。

 この日開かれた衆院安全保障委員会(閉会中審査)では民進党の後藤祐一議員が「制裁措置に安保理の中で『石油禁輸』をくわえるべきではないか」と提起した。

 佐藤正久外務副大臣は「大切なことは、国連の安保理決議を北朝鮮が素直に受け取って、非核化のための対話を求めるというステージに持ってくること。これが非常に大事だ」とした。そのために「どのようなものが一番効果的か、石油関係も含め、関係国と調整していきたい」と制裁強化は必要との認識を示す中で、冷静な答弁を行った。

 後藤議員は「石油禁輸は効くに決まっている。やりましょうよ。ロシアと中国が慎重なのだろうと思うが、石油禁輸を含め、ロシア、中国を説得頂きたい」と求めた。

 ただ、石油禁輸は1940年ころからの米国の対日輸出制限措置や翌年8月の対日石油輸出全面禁止措置により、石油の大半を米国に依存してきた日本は石油供給の道を断たれ、米国からは日本は中国、インドシナから撤退すべきと要求されたが、これを拒否し、米国や英国に宣戦布告し、資源獲得のために侵略戦争に突き進むことになった。石油禁輸を受けた側に制裁効果の大きいことは議員指摘通りかもしれないが、よりリスクを高めることにならないのか、冷静な対応こそ期待されている。(編集担当:森高龍二)