2011Top 100グローバル・イノベーター・アワード発表

2012年02月20日 11:00

 トムソン・ロイターが英国時間の昨年11月15日、保有する知的財産データを基に知財動向を分析し、「トムソン・ロイター 2011Top 100グローバル・イノベーター・アワード」として選考、イノベーションに積極的で、知的財産権保護の尊守に努め、かつ世界に影響を及ぼす発明をもたらした企業トップ100社を発表している。

 評価基準には、過去3から5年間の「特許登録率」、「特許ポートフォリオの世界的広がり」、「文献引用における特許の影響力」、「特許数」データをベースとして、「成功率」、「グローバル性」、「影響力」、「数量」が用いられているとのこと。

 受賞企業100社の国別内訳としては、米国が40社と群を抜いて数が多いものの、日本は27社選出されており、フランスやスウェーデン・ドイツなどいった欧州全体での受賞数29社に匹敵する数である。また、アジア地域で選出されているのは日本以外に韓国の4社のみ。近年の特許出願数ではリードしている中国であるが、その登録数や世界的影響力が重視される本アワードでは選出されない結果となっている。これらの数字は、日本の技術力の高さや影響力、特許などの知的財産に対する意識が、世界トップレベルであり、アジア地域では群を抜いていることを示している。

 日本の各企業の受賞理由としては、ヤマハがすべての基準を満たした上で「特に、発明の国際的な保護に関して高いスコアが認められる」と、知的財産戦略が優れていると評されている。また、富士通の選定理由には、特許登録数や引用数の多さが、他社に大きな影響力や広がりを与えている点が挙げられている。そして村田製作所の選定理由には、イノベーションの重要性を認識し4つの主要市場 (日本、中国、米国、欧州) の特許庁における保護に力を注いでいるだけでなく、期間内の特許ポートフォリオに対する被引用数が4倍を超えたことが特筆されている。

 このように、客観的なデータに基づいて評価された本アワードを受賞したことは、世間や世界に対して、自社の技術力や意識を広める格好の題材であろう。しかし受賞した日本企業の内、現在HP上で受賞を発表していることが確認できるのは、たった7社である。発表していても、受賞直後に数行程度の発表しかしていない企業が多くみられる。技術力や知的財産に対する意識が高く、客観的に、そして世界的にも評価されているにも関わらず、それを広めていかなければ宝の持ち腐れである。今回が第一回となる本アワードは、今後は年一度、定期的な発表を予定しているとのこと。ここに選出されることを目的として技術力を磨き、知的財産戦略を構築するだけでなく、選出されたことを上手く利益に繋げる諸策を各企業には期待したい。