2012年以降も健康食品市場、安定成長となるか

2012年02月20日 11:00

 矢野経済研究所の調べによると2011年度の健康食品市場規模は前年度比102.1%の7105億円と予測されている。2008年度まで縮小傾向にあった同市場が2009年度からプラス成長に転じ、その好況を今年度も維持、2012年度以降もその傾向は続くであろうか。

 同調査によると、広がる健康食品市場に同調するように表示・表現に対して行政の規制・監視が強まっており、ヒット素材が生まれにくくなっているという。その為、認知度の高い素材や効果の実感しやすい素材が人気を得ており、中でもグルコサミン、プラセンタ、青汁などが好調であったという。中でも中高年層の関節痛対策として、グルコサミン、コンドロイチン含有商品の注目度は高い。富士経済の調査でも、2011年の機能志向食品(健康食品・シリーズサプリメント)市場が前年比2.2%増と見込まれる中で、グルコサミンなどの骨・関節サポートは、3年連続の2桁成長となる前年比11.2%増の476億円が見込まれるという。構成比も2012年には、グルコサミンが骨・関節サポート市場の80%超を占め、500億円を上回ると予測されている。この傾向を裏付けるように、また後押しするように、大正製薬がグルコサミン・コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物などを配合したサプリメントを2月15日から発売開始している。

 こういった健康食品市場の拡大は、日本に限ったものではない。サプリメント先進国と言われる米国では、現在の市場規模は1000億ドル(7兆6500億円)を超え、今後も年間7~8%の成長が見込まれているという。時事通信社によると、この需要拡大を見込んで今年から本格的に丸紅が参入。資本提携している米国の健康食品の製造販売会社と協力し、素材を日本の食品・飲料メーカーに販売するほか、丸紅の仕入れ先などが既に取り扱っている素材を共同で発掘し、日米で販売するという。

 高齢化や健康意識の向上にともなって拡大し、レスベラトロールなど注目の成分を含んだ商品が次々と世に出てきている健康食品市場。今後もその傾向は続くと思われるが一方で、各成分に対する正しい知識の普及はどうであろうか。認知度の高く普及が進んでいる成分であっても、各自の持病などによっては副作用がみられるケースもあるという。健康食品市場の拡大が一時的なものにせず、2012年以降も長期的・安定的なものするためには、この正しい知識の普及がキーポイントとなるのではないだろうか。