シャープ、CEATECでもっとも伝統的な展示方法で「8Kテレビ」をアピール

2017年10月08日 13:49

CEATEC_Sharp_8K_Aquos

もっとも伝統的なCEATECらしい発表を展開したシャープ、初の民生用8K対応テレビ「LC-70X500」を中心に8K映像の魅力をアピールした

 シャープは「CEATEC JAPAN 2017」で同社が進める「8Kエコシステム」を大々的に展示。開幕前日の10月2日に予約受付を開始した、初の民生用8K対応テレビ「LC-70X500」を中心に8K映像の魅力をアピールした。もっともCEATECの伝統に寄り添った最新家電の展示という意味で、安心して見られるブースだったと言えるかもしれない。

 LC-70X500は、フルハイビジョンの16倍の画素である約3300万画素(7680×4320ピクセル)を持つ70V型の超高精細8K対応液晶テレビだ。解像度の高さに加え、そこに高い階調差を持たせることでハイビジョンや4Kでは表現できない臨場感や実物感、自然な立体感を生み出す。LC-70X500は8K/60Hzまで対応し、色域も先に発売された業務用70V型8Kディスプレイ「LV-70002」に迫る。民生用と商品ながら、約100万円(税別)という価格設定であり、映像製作や医療分野など業務用途の問合せも多いという。

 アクオス8Kは、この8月に世界同時発表し、10月から中国で発売したのを皮切りに、12月に日本、来年2月に台湾、3月に欧州・ロシアで発売となる。中国向けの生産は、鴻海精密工業の支援を受け中国で現地生産する。日本と他お椀向けは日本で生産する。

 LC-70X500にはさまざまな映像コンテンツを8K画質に変換する超解像度技術を搭載し、デジタルカメラで撮影した4K超の写真データなどもUSB接続で表示できる。

 ただし、課題も残されている。まず、8Kの放送向けコンテンツはまだ存在しない。2018年12月にNHKの「8K実用放送」が開始されるまで、1年以上も待たされる。

 また、LC-70X500は8K実用放送対応のチューナーを内蔵していない。そのため、本放送を視聴する場合はチューナーを購入して接続するための追加コストが発生する。シャープは8K実用放送に対応したチューナーの開発を進めており、放送開始に間に合わせる計画だが、価格など詳細は未定だ。

 しかしながら、民生用製品としてはまだ“フルスペック”といえず、高価なLC-70X500だ。が、業務用途ではむしろ低価格な8Kモニターとして人気を集める可能性がある。医療向けでは、カイロス社などと共同で世界初の8K硬性内視鏡システムの構築を行なった。「8K映像技術で手術の効率と安全性が高まる」と現場での評価は高いという。

 同社では、「12月n発売までに200台の予約、2018年の3月末までに1000台の販売」という目標を掲げている。(編集担当:吉田恒)