台湾・鴻海精密工業の傘下で再建を目指しているシャープ<6753>が中期経営計画を策定し発表した。計画の最終期である2019年度には売上高3.2兆円、営業利益1500億円を目標としている。
鴻海傘下で現在経営再建中のシャープであるが、5月26日に今後の事業計画として中期経営計画を発表。その内容は前期2016年度を底に業績のV字回復を目指す内容。2019年度までの今後の3期の計画となっているが、最終期の2019年度には売上高3.25兆円、営業利益1500億円を目指すとしている。
IoTを中心とするスマートホーム事業及び各種デバイスやカメラモジュールを中心とするIoTエレクトロデバイス事業が、2016年度比で約2倍の売上となる計画で、IoT領域での積極的な事業拡大を目指すものとなっている。
また得意としているディスプレイ事業においても、8Kディスプレイの強化を始め、FEDやOLED等の新技術開発及び海外の展開を強化することで、ディスプレイ事業単体で1兆円以上の売上を計画している。
シャープの2016年度の売上高は2.0兆円であり、全社として売上を1.5倍以上伸ばす計画となっており、計画の達成は拡大するIoT市場に対応できるか否かにかかっている、と言っても過言ではない。
また同時に当期2017年度の業績予想も公表。売上高2.51兆円、営業利益900億円、経常利益790億円となっており、当期からの黒字定着が予想されている。2017年度の黒字化により黒字定着がなされれば、シャープは鴻海傘下での再建について、最初の段階をクリアすることになる。
中期経営計画で公表の2019年の売上高3.2兆円、営業利益1500億円という計画は、2000年代半ばのシャープが絶好調の際の数字に近い計画である。事業体制をIoT事業中心に組み替え、更にその上で最高益に近い数字を計上できるのか、鴻海のシャープ運営能力に加え、シャープ自身も自社の開発力を問われることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)