日銀短観 10年ぶりの好景気。輸送用機械、半導体関連好調

2017年10月11日 05:39

画・10年ぶりの好景気。輸送用機械、半導体関連好調(日銀短観)

日銀が10月2日公表した日銀短観によると大企業製造業で業況判断指数がプラス22と好調、10年ぶりの高水準の実績を示した。

 日本銀行調査統計局は10月2日、9月分の短観(企業短期経済観測調査)を公表した。調査結果によれば大企業の業況判断は全産業でプラス23、製造業でプラス22と高い水準になった。

 製造業については前回6月調査17から5ポイント上昇で4ヵ月連続の上昇となる。また、これはリーマンショック前の2007年9月と同水準であり10年ぶりの高水準である。先行きについてもプラス19と前回調査より4ポイント落ちるものの引き続き高い水準を維持すると予想されている。中堅企業製造業でも現況判断プラス17、中小企業同でもプラス10と良好な数字を示している。

 製造業の中でも高い数字を示しているのが石油・石炭製品のプラス31、窯業・土石製品のプラス22、加工組立型産業では、はん用機械がプラス35、生産用機械がプラス36と特に高い数字を示している。また、業務用機械がプラス30、電気機械がプラス27と高くなっている。

 業種別に大企業の業況を細かに見ると、はん用・生産用・業務用が実績プラス28で、先行きもプラス35と極めて高い数字となっている。中でも生産用機械がプラス36と高い数字を示しており、この好況感がこのところの設備投資ブームに牽引されていることを暗示している。これはIoT生産に不可欠なエッチング装置、半導体製造装置に牽引されている可能性が高い。電気機械もプラス27と好調である。輸送用機械の中でも自動車がプラス18と5期連続で安定的な好実績を示している。

 国内での製商品需給「需要超過-供給超過」をみると、汎用機械がプラス6、電気機械がプラス1、自動車がプラス1と需要超過の状態にある。 海外でのそれは、はん用機・生産用・業務用機械がプラス8と供給が追いつけない状態である。電気機械や輸送用機械の中でも自動車がそれぞれプラス6とプラス1で需要超過の状態にある。総合すると欧米その他の海外経済の回復によって輸出が堅調であることを暗示している。特にスマートフォーンやIoT関連の能力増強投資に関連した業種で好調であるという印象を受ける。今後の先行き(予測)を見てもしばらく堅調に推移しそうである。

 一方、この好調感の中で労働市場の逼迫が起こっているようだ。雇用人員(「過剰」-「不足」)をみると全産業で実績がマイナス18、予測もマイナス18と今後の生産拡張にも人手不足感から十分対応できるかという懸念がみられる。(編集担当:久保田雄城)