トヨタと社団法人・全国ハイヤー・タクシー連合会、KDDIが協働で、2017年4月から実証実験を開始・実施していたのを覚えておられるだろうか。
データセンターと実走行するタクシーが、独自の通信型ドライブレコーダー「TransLog」を使って通信することで、タクシーを利用する客の利便性向上や、ドライバーへのサポートなど、新たなサービス提供が可能となる“つながるタクシー”の実現を目指した。そのために必要となる技術要件の明確化と、大容量の走行データの活用を目的とした実証実験だった。
その実証実験の結果をうけて、東京都内で走行する500台のタクシー車両に搭載した通信型ドライブレコーダー「TransLog」から収集される「走行画像」や「車両データ」を解析し、その結果から得られた「レーン別渋滞情報」を、スマートフォン向けナビゲーションアプリ「TCスマホナビ」を使って配信するサービスを、2018年春より開始する。
トヨタは、2002年に車載通信機(DCM)を実用化、2005年からレクサス車に標準搭載、ならびにトヨタ車にオプション搭載を開始し、エアバッグ作動時の緊急通報サービスや、ナビ地図データの自動更新、オペレーターサービス等を提供している。
2011年からは、DCMから収集された走行データを用いた、ビッグデータ交通情報サービスを、「Tプローブ交通情報」として、純正ナビゲーションシステムやTCスマホナビに提供している。
今回、開発した「レーン別渋滞情報」は、それをさらに補完する情報であり、「TransLog」から収集された「走行画像データ」を、AI(人工知能)を用いて解析して、車線ごとの混雑情報を提供するシステムである。
これにより、従来の交通情報では、道路の区間単位でしか認識できなかった渋滞状況が、車線単位に認識できる。加えてその状態を画像でも確認可能だ。
今回の実証サービスにおいて、情報の提供範囲は東京都心部だけであり、TCスマホナビからだけの利用となるが、ユーザーの利用状況や、各種の技術的評価を行ない、提供地域や利用できる情報端末を拡大することも検討しする。
また、タクシーの走行画像データからは、工事規制や事故車両の情報、路上の障害物、駐車場の満空状況や道路沿いの店舗の混雑状況など多彩な情報が得られ、トヨタは、それらの情報をリアルタイムに抽出し、新たな交通情報サービスとして提供する開発を進めている。
なお、10月28日から一般公開となる「第45回東京モーターショー2017」主催者テーマ展示「TOKYO CONNECTED LAB 2017」において、トヨタはレーン別渋滞情報」表示の紹介を実施する予定だ。(編集担当:吉田恒)