トヨタ自動車の米国における生産拠点であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ミシシッピ(TMMMS)が、現地時間2月6日より2直稼動を開始した。当初の予定通り、工場での雇用は約2000名となる。
トヨタは、2007年2月にTMMMSの建設を決定。一時的に工事を延期していたものの2010年6月に再開し、2011年10月からカローラの生産を開始していた。敷地面積は約700万平方メートル、初期投資額は8億ドルで、年間生産能力は15万台となる。
北米は、トヨタ自動車の持続的成長のために重要な地域であり、開発から生産、販売、サービスにいたる現地化および自立化を一層推進していく方針とのこと。この方針は他の発表でも強調されており、今月9日に発表されたところによると、米中西部インディアナ州の生産能力を、2013年後半に、現在の約28万台を5万台引き上げて、約33万台とするという。また、新たにスポーツ多目的車(SUV)ハイランダーハイブリッド(HV)の生産を開始するとともに、ハイランダーを増産する。これに伴い、投資額は約4億ドル、新規雇用は約400名を予定。新たに生産されるハイランダーは、オーストラリア、ロシア等にも輸出する予定であるとのこと。さらにロイターによると、このHVモデルの生産は、国内からの生産移管であるという。
自動車市場が回復しつつある北米に対して国内からの輸出では、円の高止まりによる為替差損が大きな壁となっている。その為国内重視の傾向から「需要のあるところで生産する」という考え方に転換を迫られた形である。トヨタは8日にもインドネシア工場の生産能力増強、輸出拡大を発表しており、米国へのシフトだけでなく、他国へのシフトも進んでいる。円高だけでなく、車離れに加え今後は人口も減少する日本で、現在の生産能力を維持することは確かに困難であろう。しかし日本の生産拠点や生産能力が減少していくことは、周辺企業を巻き込む大きな問題ともなる。移転先の新規雇用人数に対し、日本で職を失う人は一体どれぐらいになるのだろうか。