無人化店舗という「新業態」の可能性

2017年11月06日 06:44

画・無人化店舗という「新業態」の可能性

人員確保が難しくなる今後を見据えた無人化店舗を実現するための技術が開発・実用化されている。今後こうした流れはさらに加速すると思われる。

 小売業やサービス業が現在最も頭を悩ませているのが人材の確保である。出店して勢力を拡大したいと思っていても「店員」として働く人材が確保できなければ結局は出店することもできなくなってしまい、売上についても頭打ちになってしまう。この悪循環を打破するために考えられているのが「無人化店舗」である。

 たとえばスーパーなどでは、既にレジを無人化した「セルフレジ」という仕組みが導入されている。これは、商品を買い物客自身がスキャンし精算するというもので、買い物客からすれば待ち時間の軽減につながり、店側にとっても配置する人員は最低限の人数で良いというメリットがある。このセルフレジには、商品を正確に読み取るための技術や盗難防止の方法などが欠かせないが、それらがクリアできたからこそ導入された仕組みといえるだろう。

 日本の大手コンビニでは2025年までに全店舗でセルフレジを導入する方針といわれているが、スーパーなどに比べると少し導入が遅いような感は否めない。ただし、それはあくまでも通常業態のコンビニでの話であり、オフィス内の店舗の場合はセルフレジの導入が先行されており、高性能なものになると商品の特性に合わせた様々な管理もできるようになっている。コンビニのレジというのは、売れ筋の商品を把握し、販売戦略をたてるためのデータを収集するといった役割も担っている。それだけにただ決済ができれば良いというわけではなく、より進んだ技術が必要となる。

 コンビニ以外に目を向けると、飲食店では既にタッチパネルによる注文システムが導入されている。このシステムによって注文を聞きに行く手間と人員を節約することができ、よりスピーディな配膳が可能となる。こちらもやはり商品データベースと連動することで人気のメニューなどを把握することができるようになる。

 このように、無人化店舗を実現するために必要なシステムは着々と実用化されつつある。もちろん完全に人がいない店舗というのはまだ現実的ではない、というのが現状ではあるが、それでも様々な技術が活用されることによって新たな業態の可能性が生まれることは間違いない。少子化と言われ、今後ますます人材確保が困難となっていく時代にこそ、こうした無人化の技術はさらに研究開発が進んでいくと思われる。(編集担当:久保田雄城)