8億円値引きの根拠崩れた以上、予算委で説明を

2017年11月25日 14:50

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政府は、今回の問題、合わせて加計学園が運営する岡山理科大への獣医学部新設を巡る経緯の不透明さの問題を踏まえ、文書管理については文書管理のガイドラインを見直すとして、現在、見直し案を示し、パブリックコメントを受け付けている

 学校法人森友学園への国有地売却に8億2000万円の値引きが行われたが、根拠となった地中のゴミ量は、会計検査院の調査の結果、政府答弁の最大7割から最小でも3割少ないことが国会に報告された。加えて、ごみ処理量1トンあたりの単価根拠についても確認できなかったとしている。

 政府は国会答弁で「法令に基づき、適正に処理された」と繰り返し主張してきた。しかし、適正に行ったことを裏付けるはずの重要な資料は半ば証拠隠滅を図ったと疑いたくなるような、早期破棄により存在していない。会計検査院は国の文書管理についても改善を求めた。政府は森友問題をどう受け止めているのだろう。その姿勢から問われることになるのだろう。

 森友学園への国有地売却値引き問題では値引きが国側から森友学園側に提示された経緯もある。安倍昭恵総理夫人が学園の小学校名誉校長に就任していた時期と重なり、土地取引について当時の籠池泰典学園理事長が「神風が吹いた」と国会で証言した。

 国有地売却前の国有地借入れ時には昭恵総理夫人付き政府職員が自ら所属する省ではなく、部外の財務省に対し照会していたことも明らかになっている。

 これら一連の問題を含め、安倍晋三総理は国有地払い下げでは「法令に基づき、適正に処理された」「会計検査院が厳正な調査をしている」と繰り返し、昭恵夫人の関与は全面否定したうえで、会計検査院調査中を理由に、森友学園への国有地売却値引き問題を先送りしてきた。

 会計検査院の報告を受け、政府は「丁寧に、国民への説明責任を果たすべきだ」。説明責任を果たすために、当時の関係職員と昭恵総理夫人を国会に招致し、適正な取引であったことを証明することを期待する。27日、28日の衆院予算委員会では、この問題に、誠意ある説明を行うことが政府側に求められている。

 政府は、今回の問題、合わせて加計学園が運営する岡山理科大への獣医学部新設を巡る経緯の不透明さの問題を踏まえ、文書管理については文書管理のガイドラインを見直すとして、現在、見直し案を示し、パブリックコメントを受け付けている。

国有地払い下げについては財務省が客観性を高めるため、売却価格を第3者に算定させるなど国有財産管理処分手続きの見直しを行う方針を示した。問題は例外を認めるという逃げ道での政治介入や政治的忖度が入る余地を完全に防ぐために、例外を認める場合には、特に、遡って検証できるように個人的メモも対象に5年間の保存を義務付けるなどの措置を講ずるようにすべき。

 合わせて、今回の会計検査院の調査段階で浮かびあがった問題もある。会計検査院に「強制調査権」がないこと、さらに問題(違法性)が明らかな場合「告発義務」を会計検査院に与えるべきこと。会計検査院の実効性をあげるため、その権限と責任を強化することも国会で議論すべきだろう。(編集担当:森高龍二)