安倍晋三総理は21日の衆院本会議で日本共産党の志位和夫委員長の森友学園への国有地の8億円値引き問題に関する質問に「国有地売却での当事者間でのやり取りについては現在捜査が行われている」と回答を避けた。その一方で「私の妻が一時期、名誉校長をしていたこともあり、皆様から疑念の目を向けられたのも最もだと思う」と語った。
安倍総理は「本件については私自身、閉会中審査に出席するなど丁寧な説明を積み重ねてきた。今後も丁寧に説明していく考え方に変わりはない」と述べ、志位委員長が「真相を究明するために、売却に直接かかわった財務省職員と売却交渉のときの名誉校長であった昭恵総理夫人に国会に来ていただき、直接話法で真実を語ってもらう必要があると考えるが、総理の見解は」との問いには「国会における審議については国会でお決め戴くことだと認識している」とかわした。
志位委員長は代表質問冒頭に、森友問題、加計疑惑を取り上げ「森友・加計疑惑は、公正公平であるべき行政が、時の権力者によってゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大疑惑であり、自民党が総選挙で多数を得たからといって、絶対にあいまいにされてはならないもの」と指摘した。
そのうえで「森友疑惑の核心は、国民の財産である国有地がなぜ8億円も値引きされ、ただ同然で売却されたのかにある。売却に直接かかわった財務省職員と学園側とのやりとりを記録した音声データが報道で明らかになった。音声データには、地下深くまでゴミがあったことにして売却価格を引き下げるというシナリオを財務省職員の側から提案していたことが記録されている。売る側である財務省の側から値引きを提案するなどという信じられないことがなぜ起こったのか」と指摘。
また「(当時の)籠池氏(学園理事長)は国会で『神風が吹いた』と証言したが『神風』が吹き出した時期と安倍昭恵総理夫人が名誉校長に就任した時期が重なっているのは、とうてい偶然とは考えられない」として関係職員と昭恵夫人の国会招致に対する総理の考えを求めた。(編集担当:森高龍二)