野党は電磁波懸念も提起「イージス・アショア」

2017年12月22日 06:43

 政府が北朝鮮の弾道ミサイルの脅威を理由に地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を2基導入することを国会で説明することもなく、閣議決定したことに野党側から抗議や懸念が出ている。特に強い電磁波による配備先の住民への健康への影響を懸念する問題提起も出ている。

 社会民主党は「射程は2000キロ、迎撃できる高度が約1000キロとなり、現在のイージス艦の迎撃ミサイルの倍となる。イージス・アショアの導入は憲法上の疑義も」と提起。

 費用面でも1基1000億円といわれることから「厳しい財政事情を理由に社会保障費を切り捨てる一方で、イージス・アショアを導入し、トランプ大統領の米国製軍事装備の大量購入の圧力に応え、米国の軍産複合体を喜ばせることは認められるものではない」と提起した。

 さらに配備候補の名に上がっている秋田市の新屋演習場、山口県萩市のむつみ演習場について「レーダーが四方に放出する強力な電磁波による健康被害や生活への影響なども懸念されているにもかかわらず、候補地とされる地域の住民に対する詳細な説明が全くなされないまま、一方的に計画を進め既成事実化することは許されない」とも提起した。

 日本共産党も「日米両国が共同開発する能力向上型の迎撃ミサイル『SM3ブロックIIA』を使用し、2基で日本全域をカバーできるといわれているが、防衛省の説明でもその能力は不確実」と疑問視しているほか、配備候補地にも「レーダーは強力な電磁波を発するため、電波障害などの影響が懸念されている」とした。また「イージス・アショアの導入は、安倍政権の大軍拡路線をさらに加速させる」と警鐘を鳴らしている。政府がこうした疑問や懸念に国会で丁寧に説明していくことが求められる。(編集担当:森高龍二)