タワーマンション増税による購入への影響

2018年03月18日 14:49

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新築のタワーマンションでは高層階に対して固定資産税などが増税されることになった。それを受けてタワーマンションの購入に対する影響が少なからず出ている。

 政府与党は、20階建て以上のいわゆる「タワーマンション」について高層階の固定資産税と相続税を引き上げる方針を固めた。今回の増税の対象となるのは2018年以降に引き渡す新築物件が対象となっている。タワーマンションは高層物件であることから、上層階に居住することでより景観を楽しむことができるようになることから、同じ床面積であっても取引される価格は高くなるのが一般的だ。今回の増税対象となるのはその高層階だが、取引価格に対して課税される税金額が安いという特徴があったことから増税対象とすることとなったようだ。

 タワーマンションの高層階の部屋の税金額が安いということから、富裕層の間では節税対策として高層階を購入するケースも少なくなかった。従来の税金制度による固定資産税などの計算ではマンション1棟あたりの固定資産評価額を部屋ごとの床面積で割って計算していることから居住する階層によって差が出るようなこともなく、同じ床面積であればどの階であっても評価額は基本的に同じ金額となる。しかし、最上階と1階とでは同じ床面積であっても取引される価格は最上階の方が高くなる。これが取引価格に対して課税される税金額が安くなるという仕組みである。

 このタワーマンションの高層階に対する増税については政府与党は以前から発表しており、対象となるのは2018年度以降に引き渡される新築物件であることから、マンション販売業者などは税金対策を販売戦略のひとつとして展開しているケースも多く、実際に「駆け込み需要」でマンションを買ったという人も少なくないのではないだろうか。増税対象となる前にタワーマンションの高層階を購入しておくことで、従来通りの税制適用が受けられるため、固定資産税や相続税の節税を考えたいという層には駆け込み需要としてのニーズはあったはずだ。

 タワーマンションの高層階における固定資産税の増額により、マンションの購入階として人気が高まるのが低層階や中層階である。マンションの価値というものは高層階であるという以外にも、立地や間取り、利便性なども大きく関係してくるからだ。タワーマンションが建てられる場所というのは景観も含め、駅に近いなど立地に優れた条件のところがほとんどである。高層階に住まずともそのマンションで暮らすことそのものがステータスとなる場合も多い。また、利便性の高いマンションであればその後の転売などにも有利な条件を提示できる可能性もある。富裕層が高層階を購入して節税をするといった方法は今後は縮小傾向になるかもしれないが、タワーマンションそのものの価値が下がるわけではないため、今後もタワーマンション人気が下がるという可能性は低いといえるだろう。(編集担当:久保田雄城)