トヨタ自動車は、米国ニューヨークで3月30日から開催される「NY国際自動車ショー」で、ミッドサイズのSUVである新型RAV4(米国仕様)をワールドプレミアする。
初代RAV4は1994年、四輪駆動車はオフロード向けのクロスカントリー車と位置付けられていた時代に、「アウトドアでも街乗りでも、見て・乗って楽しいクルマ」をコンセプトに、クロスオーバーSUVのパイオニアとして誕生したクルマだ。
初代モデルはコンパクトな2ドア+HBという車型で登場し、5ナンバー車故の取り回しの良さで、日本国内でもヒットモデルとなった。
このRAV4の成功を受けて、競合他社もCR-V(ホンダ)やエクストレイル(日産)、フォレスター(SUBARU)など、コンパクトSUVを相次いで発売された。
ただRAV4は、2世代目以降、米国などからの要求で大型化し、主要市場である米国を中心に、トヨタのグローバルコアモデルとなった。これまで、米国で累計約318万台、グローバルで累計約812万台(2017年末時点)を販売した。2017年は、80万台を超えるグローバル販売を達成するなかで、米国販売が過去最多の約41万台を記録し、RAV4は米国において「すべてのSUVのなかで販売台数が最も多いモデル」および「トヨタ車のなかで販売台数が最も多いモデル」になった。が、4代目は遂に日本販売されなかった。
今回発表となる5代目の新型RAV4は、「Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive」(SUVらしい力強さと、日常での使い勝手や細やかな配慮を兼ね備えた4WDを開発コンセプトに設定し、乗る人の好奇心を刺激し、新たなライフスタイルを切り拓くきっかけとなるクルマを目指した。
真の「SUVらしさ」を追求し、タフで力強いアクティブさを充実させるだけではなく、都会にもマッチする洗練されたデザインも重視したという。
運動性能では、トヨタのクルマづくりの構造改革である「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を基本とする新プラットフォームの採用。ボディの高剛性化・低重心化を図り、さらなる燃費性能と高い操縦安定性・走破性を目指して開発した新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」(ガソリン車)および「新型E-Four」(ハイブリッド車)をトヨタで初めて採用した。乗り心地は犠牲にせずに、いかなる路面でも意のままに走行できる操舵性と走行安定性を実現したという。
気になる新型のボディサイズは全長×全幅×全高4595×1855×1700mm、ホイールベース2690mm。ボディのワイドスタンス化やタイヤの大径化(19インチ)のほか、最低地上高を先代モデルよりも高くし、SUVらしい力強いスタイリングを実現した。フロント&リヤオーバーハングもそれぞれ短縮し、高い走破性を引き上げている。
搭載するパワートレーンは、TNGAによる2.5リッター直列4気筒直噴エンジンに8速トランスミッション「Direct Shift-8AT」を組み合わせたバージョンと、2.5リッターハイブリッドシステム(THSⅡ)を設定。燃焼効率の向上およびトランスミッションの高効率化により、高い動力性能と低燃費を両立させた。
ガソリン車の上級グレードには、新開発した4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用。前後および後輪左右駆動力を最適に制御する「トルクベクタリング機構」を搭載でコーナリングや悪路走行時においても優れた操縦安定性とトラクション性能を発揮する。同時に、2WD走行時には後輪に動力を伝達する駆動系の回転を停止させて燃費向上を図る「ディスコネクト機構」も搭載した。
ハイブリッド車には、「新型の「E-Four」を採用。電気で駆動する後輪の最大トルクを従来型の1.3倍に増加させて、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れ、高い走破性と優れた操縦安定性を実現した。
もちろん、安全性能についても不足はない。第2世代の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備となり、車両に加えて歩行者検知(昼間・夜間)・自転車検知(昼間)を行ない衝突回避支援または被害軽減を図る「プリクラッシュセーフティ」、前方車両の追従走行を支援する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」、レーダークルーズコントロール作動時に車線維持に必要な運転操作を支援する「レーントレーシングアシスト(LTA)」、車線逸脱による事故予防に貢献するステアリング制御機能付きの「レーンディパーチャーアラート(LDA)」、夜間の前方視界確保支援を目的とした「オートマチックハイビーム(AHB)」、カメラで認識した道路標識をマルチインフォメーションディスプレイに表示することで道路標識の見落としを減らし、安全運転を促す「ロードサインアシスト(RSA)」などが含まれている。
新型RAV4の米国での発売は、2018年末頃(ハイブリッドは2019年初)を予定する。なお、日本でも発売する予定でスケジューリングされており、2019年春の発売を予定する。(編集担当:吉田恒)