世界経済の回復を受けて、現在の日本経済は回復傾向で推移している。その中で、団塊の世代の労働市場からの退出も相まって人手不足感も高くなり賃金は上昇傾向だ。
というものの、賃金上昇が物価上昇に追いつかず、実質レベルの賃金は減少傾向で推移している。企業は人口減少による内需縮小傾向を見込んでいるので大きな賃上げは期待できない。勤労者の期待は弱含みで、未だ節約傾向が持続していると言える。
JCBが2月、全国の20歳から69歳の男女1000人を対象に「キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2018」をインターネット上で実施した。
調査結果によれば、新年度(18年4月から)の目標を尋ねたところ、「貯蓄」が38.9%で、4年連続でトップとなった。次いで「生活費の見直し・節約」が24.6%、「仕事や家事の効率UP」が21.0%と続き、未だ節約志向が持続していることがうかがえる。
貯蓄目標額について尋ねたところ、「0円」が16.0%、「100万円台」が19.3%、「500万円以上」は8.8%となっており、「100万円以上」と回答した者の合計は37.3%となった。「0円」も含めた平均貯蓄目標額は168.7万円となる。
男女別で見ると、男性の平均が212.4万円、女性の平均は124.9万円で男性の方が高くなっている。年代別では、男性では30代が最も高く265.8万円で、女性では50代女性が155.9万円で最も高くなっている。
昨年の貯蓄増加額の実績を聞いたところ、「0円」が36.9%で、「1万円~50万円未満」は30.3%、「50万円~100万円未満」は11.3%、「100万円以上」は17.4%となり、「0円」も含めた平均の貯蓄増加額は59.9万円であった。全く増やせなかったという者が3分の1いる一方で100万円以上増やせたという者も2割近くいるようだ。
この調査はキャッシュレスに関する調査のため、キャッシュレス派と現金派に分けて集計が行われている。キャッシュレス派の平均貯蓄増加額は87.6万円で、現金派の平均貯蓄増加額32.5万円より多いという結果になっている。
この結果がどのような理由によるものかは不明であるが、キャッシュレスが決済の効率化を促進することは確かだ。マネーの管理が合理的な者の方がより貯蓄を殖やせるということかも知れない。(編集担当:久保田雄城)