昨年6月に発生したあおり運転に端を発する死亡事故で「あおり運転」、「危険運転」が注目を浴び、ドライブレコーダーの販売が急増するなど社会問題化した。事故から1年経つ4日、物流コンサルタント業の物流企画サポート株式会社が同社の運営するサイトを経由してトラックドライバー325人を対象に「あおり運転」の被害経験に関する調査を実施し、その結果を公表した。
調査結果によれば、回答者325人のうち「あおり運転の被害にあった経験」について、231人の者が「ある」と回答しており、全体の71.1%を占め、多くのトラックドライバーが「あおり運転」の被害にあっている実態がうかがえる。逆に「ない」と答えたのは86人で、全体の26.5%であった。この他、「答えたくない」と回答した者が8人、割合で2.5%いる。
「あおり運転」をしてきた車の種類について尋ねたところ、乗用車、トラック、ダンプ、タクシーなどさまざまな回答が帰ってきた。「あおり運転」に対して「どう対処したか」という問いに対しては、「道を譲った」、「追い越させた」、「無視した」などが大半であったが、なかには、「頭にきたから急ブレーキを踏んでやった」、「クラクションを鳴らしっぱなしで追いかけた」など、事故に繋がりかねない危険な対応をしてしまったと回答している者も少なからず存在する。
自由記述回答を見ると、「日常的に普通によくあおられる。無視するのみ」(54歳)、「乗用車にあおられ幅寄せされた。相手にしない」(55歳)、「しょっちゅうあおられる。ひたすら気づかないふりで、相手が飽きるのを待つ」(46歳)、「多すぎて覚えていない」(48歳)など日常的に「あおり運転」の被害を受けている実態がうかがえる。
トラックドライバーが「あおり運転」の被害にあいやすい要因としては、法定速度や運送会社が独自に規定している「社速」を遵守していることが後続車両を「イライラさせている」というケースも考えられる。「スピードリミッターが付いているし、荷崩れの心配もあるのでスピードは出せない。一般車のドライバーはリミッターのことやトラックの制動距離のことなど知らないはずなので、もっとPRが必要なのではないでしょうか」(48歳)。
大型貨物自動車には時速90km以下の速度抑制装置が取り付けられている。トラックの構造上の特性と業界の安全への取り組みを広く啓蒙する必要があるようだ。(編集担当:久保田雄城)