微細化・低消費電力化が進む半導体の技術

2012年01月23日 11:00

k120120_030_1

スマートフォン向け部品のラインアップ強化をしているロームは、グループ会社の米カイオニクス社から、同グループの牽引分野であるセンサに関する5ラインナップの新商品を発表した。(画像は業界最小サイズ(2mm×2mm×0.9mm)の加速度センサ「KXTJ2」)

 スマートフォンやタブレットPCをはじめとするモバイル端末の普及が急速な広がりを見せている。電話やEメールなどの通信端末としての機能だけでなく、音楽再生や映像再生、情報端末などとして様々な用途に供され、その高機能化・多機能化の進化には目を見張るものがあるだろう。これらの端末の普及に伴って、ユーザー側のニーズがさらに多様化することも必至で、この傾向は今後一層加速すると考えられる。また、端末の普及と相俟って、これらのモバイル端末に対応したアプリケーションなどのコンテンツも爆発的に増えており、使用時間やそれに伴う消費電力は増大の一途を辿っている。その為、モバイル端末に装備される電子機器等は小型化かつ低消費電力化が求められており、半導体メーカーなどをはじめ各社がその技術を競っているのが現状だ。

 東芝は、昨年11月に消費電力削減に有効な、0.5Vから1.0Vの広い範囲の電圧で動作する混載SRAM回路技術を開発。同技術により、広範囲の動作電圧に対応することができる混載SRAMを実現し、0.5V動作時に従来比最大で57%の消費電力削減を実現している。また村田製作所は、昨年9月にHiQタイプ積層セラミックコンデンサとしては世界初で世界最小となる0402サイズ (0.4×0.2mm) のGJM02シリーズを商品化。パワーアンプ等の高周波モジュールアプリケーションに採用されているHiQタイプ積層セラミックコンデンサに対しても小型化への要求は例外でなく、これに応えた形といえるだろう。

 さらにロームは、昨年10月に世界最小のチップ抵抗器03015サイズ(0.3mm×0.15mm)を開発。従来の0402サイズ(0.4mm×0.2mm)に比べて、44%のサイズダウンを実現している。スマートフォンをはじめ各種モバイル機器には、一般的に1台あたり数百個の抵抗器が搭載されているといわれている。その為、このような大幅サイズダウンは、高機能化や小型化に大きく貢献することになる。

 加えて、スマートフォン向け部品のラインアップ強化をしているロームは、今月グループ会社の米カイオニクス社から、センサに関する5ラインナップの新商品を発表している。業界最小サイズ(2mm×2mm×0.9mm)の加速度センサ「KXTJ2」や高い温度安定性・最高14bitの高分解能といった高性能・低消費電力・低コスト・低ノイズを実現した加速度センサ「KXCJ9」、4mm×4mmのジャイロスコープ「KGY23」、3軸加速度センサと3軸ジャイロスコープの複合センサ「KXG02」、そして加速度センサ・角速度センサ(ジャイロ)・地磁気センサのセンサ情報の融合を行うソフトウェアスタックがそれである。省スペースかつ低消費電力を同グループの牽引分野であるセンサ・ソリューションで実現した形で、モバイル端末はもちろん、複雑なモーションをセンシングする高機能で安定性の高いセンサが求められているゲーム機器などにも多大な力を発揮すると考えられる。

 先日発表されたauの2012年春モデル5機種は、すべてスマートフォンである。このことからも、一層のスマートフォン普及は確実である。従来より低価格な料金プランまで発表され、その傾向を加速させている。そして今回の発表では、高性能化・高機能化だけでなく、そのデザイン性の広がりも窺える。今後様々なデザインに対応するためにも、内蔵する電子部品等の一層の小型化が求められ、加えてその汎用性も求められることになるだろう。利用するだけのエンドユーザーにはあまり意識されないこれらの技術。一度その技術力の高さと進歩の速さに思いを馳せてみるのも面白いだろう。