下がっても「安倍発言」注入でたちまち回復

2012年11月28日 11:00

 27日は火曜日でもあり国内外の売り買いの材料に乏しく、東京市場は閑散化して一服感で下げてもおかしくなかった。前日のNYダウは42ドル安で、為替がドル円81円台後半、ユーロ円106円台前半と円高方向に振れていたこともあり、輸出関連株の利益確定売りが入って日経平均始値は17.81円安の9371.13円と、久しぶりに安く始まった。

 それでも前場早々、ユーロ圏財務相会合でギリシャの債務削減案について合意したニュースが流れるとユーロが上昇し、日経平均も先物主導で買われてプラスに転じ、9400円台を回復してからは上げ足を速めた。後場に上海市場の軟調が影響して再び9400円を割り込んだが、またまた飛び出した「安倍発言」で直ちに回復。日経新聞によると講演で「政権公約で日銀と政策協定を結びインフレ目標を定める」と改めて示し、日銀の「1%めど」を批判して「2%の目標と書いてもらわなければならない」と強調したという。話の中身に新味はないがドル円は円安に振れ、日経平均終値は34.36円高の9423.30円。自民党の安倍総裁の口先に左右される「安倍相場」は、まだ続いている。

 上がった業種は空運、情報・通信、パルプ・紙、銀行、不動産など23業種で、ソフトバンク は110円高で売買代金トップになり350円高のファーストリテイリング とともに日経平均を下支えした。関西電力 は20円高で続伸した。売買高ランキングで不動テトラ 、佐田建設 、大豊建設 が1~3位を独占するなど後場は建設関連株が盛んに買われ、値上がり銘柄が1104もあったが、それでも利益確定売りによる輸出関連大型株の下落が目立った。鉄鋼や、トヨタ 、日産 、ホンダ など自動車株、キヤノン が揃って下げ、前日の主役ルネサスエレクトロニクス も15円安。4日続伸とはいえ日経平均はマイナス圏に何度もタッチし、売買高は20億株、売買代金は1兆3000億円を割って、市場のエネルギーはやや陰ってきた気配がある。

 前場の主役は東洋紡 。中間決算は純利益48%減と悪かったが、医療用素材「神経再生誘導チューブ」の需要増を見込んで前日に大和証券が「中立」から「買い」にレーティングを上げ、目標株価を150円に設定したのが好感された。終値は5円高の111円。値上がり率では一時トップに入り、地味な繊維株がスポットライトを浴びた。