有給休暇取得の現実 制度に追いつけない会社員の意識

2018年11月08日 07:01

画・有給休暇取得の現実 制度に追いつけない会社員の意識

転職エージェント、ワークポートが有給休暇義務化に関するアンケートを実施した。制度の認知度は未だ半数以下であることが判明。

 総合転職エージェントのワークポートが20代から40代の男女を対象にアンケートを実施した。有給休暇の取得は2019年4月より義務化される事となっている。ところが現状として半数以上がこの事実を把握していない。有給休暇取得の義務化を知っていたのはアンケート回答者のうち48.5%にとどまり、施行まで残り半年となってもなお低いままである認知度が浮き彫りになった。

 6ヵ月間継続して勤務した労働者には年10日の有給休暇が与えられる。現行の制度下では労働者側が使用者に対して取得時季の申し出を行うこととなっているが、ここで多くの労働者が直面するのは休暇の申請を言いだしにくい職場環境である。周囲が働いている中での休暇取得に負い目を感じてしまうのは、古くから根付いている労働環境の中で育った日本人の気質とも言えるだろう。慢性的に人手不足が発生しやすい中小企業であれば尚のこと、労働者自らの意思で取得時季を申し出る事は困難となる。

 このような状況の改善を図るためにも、19年4月からは使用者が労働者に対して取得時季の指定をするよう義務付けられる。もちろん労働者が自ら休暇を取得する事も可能であり、時季の指定については労働者の意見を使用者が聞き入れたうえで尊重しなければならない。施行後は1年のうちに5日間の有給休暇を取得させる事が必須となり、5日未満となった場合には企業に対しての罰則が科せられるおそれもある。

 厚生労働省によれば、15年の日本の有給休暇取得率は48.7%であった。取得率100%の先進国もある一方で日本ではその半分にも及ばず、業務日数だけを見るとあまりにも働き過ぎである印象が強い。そのため有給休暇取得の義務化は労働者にとって嬉しい制度であるが、施行に向けた取り組みを具体的に行っている企業は30%程度でしかない事もワークポートの調べによって分かっている。

 企業の中で働く会社員が後ろめたい気持ちを抱える事なく有給休暇を取得するには、使用者や雇用者の側が率先して職場の環境を変えていかねばならない。労働者への制度周知と、企業による迅速な取り組みが求められている。(編集担当:久保田雄城)