外国人の賃金、日本人と同等か以上を契約基準に

2018年11月14日 05:55

安倍晋三総理は外国人人材受け入れ拡大のための出入国管理法改正案での13日の衆院本会議質疑で、立憲民主党の山尾志桜里議員に答え、外国人労働者の賃金確保について「日本人と同一業務であれば、(賃金は)同等かそれ以上にすることを雇用契約の基準とする」と答え、雇用契約条項に反映させる考えを示した。

 ただ、外国人実習制度では雇用側が契約を守らず、賃金不払いや契約金以下、最低賃金以下で就労させる労働法令違反が出ている実態があることから、こうしたことを許さない制度の確立が必要だ。

 山尾議員は「これまで日本社会は日本で働く外国人の4割以上を『技能実習生』『留学生』と呼び『労働者』として受け止めることすら拒んできた。ましてや『生身の人間』『生活者』として尊重し、共に生きる環境整備が本格化するのはこれからだ。この根本的な問題を放置したまま、『人材不足』を理由に粗雑な新制度を提示し、日本社会としての議論も準備も成熟しない状況で受け入れ拡大に舵を切ることに大きな警鐘を鳴らす」と強い懸念を示した。

 そのうえで「安易な新制度による受入れ拡大の前に、技能実習制度の根本的な問題を解決すべき」と目の前の問題解決をさきに行う必要を強く訴えた。

 合わせて、山尾議員は「安倍総理の『新たな外国人材の受け入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保いたします』(国会答弁)との発言は、外国人の受け入れ拡大が、その分野を担ってきた日本人の賃金水準を今より下げないということなのか、今の賃金水準は下がることはあるかもしれないが日本人と外国人に同等の賃金を確保するということなのか」と外国人雇用が日本人の労働報酬引き下げにつながらないよう、けん制した。(編集担当:森高龍二)