「いわゆる移民政策はとらない」と総理

2018年11月06日 06:58

 安倍晋三総理は5日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫議員の質問に答え、外国人材受け入れのための出入国管理法改正による制度創設について「いわゆる移民政策はとらない」と強調した。

 そのうえで「真に必要な分野に限り、即戦力となる外国人を受け入れる」と述べた。政府は初年度に約4万人の受け入れを想定している。法案については、政府に白紙委任するズサンなものとの指摘も出ている。

 蓮舫議員は、この日の質問で「議論をしていると、決めた期間だけ働きに来てもらう。人が余ったら帰ってもらう。家族の帯同は大きく制限。永住権は本当にハードルが高い。何人来るか分からない。保険制度、教育の在り方は未定。人権が守られるか分からない。この法案はどのような日本社会を作ろうとしているのかという理解が深まらない」と提起。

 そのうえで「定義をしっかりし、働きに来たいという方が労働者としてだけでなく生活者として暮らすために、住環境や多様な宗教の在り方、多文化共生の在り方も含めて議論しなければならない。なぜ入管法で法務省だけなのか。すべての省庁で想定できる課題に対しこういう答えがあるから大丈夫だという法案を出して議論すべきではないか」と全省庁で検討すべきものだと政府に求めた。

 同法案に対しては日本共産党の笠井亮政策委員長は4日のNHK番組で「どの分野にどれくらいの外国人労働者を受け入れるかなど、重要事項を全て政府に白紙委任するズサンなもの」と指摘。「法案の体を成していない」とした。

 加えて、技能実習制度での受け入れでも人身売買や強制労働との批判がある中「この実態を放置して外国人労働者の人数だけ増やせば、日本の労働条件全体が悪化し、賃金が下がり、権利も奪われ、不況を促進する。外国人労働者の権利を守ることが日本の労働者の権利を守ることにもつながる」とすでに抱えている問題にまずメスを入れることが先決だと提起した。(編集担当:森高龍二)