近年、地域のつながりの希薄化が問題視されるようになってきた。昔は「近所付き合い」による助け合いやコミュニケーションが行われていたが、最近では近所どころか隣の住民の顔さえ知らないという人も珍しくないようだ。とくに都市部のマンションなどではこの傾向は顕著で、防犯や防災面での脆弱さも指摘されている。
この問題の背景には、少子高齢化や個人の価値観の多様化などが考えられる。またマンション住まいが増えたことで町内会的な集まりも減り、子どもたちも参加できるお祭りなどのイベントもめっきり少なくなった。意識的にご近所の人を避けようとしなくても、顔を合わせる機会自体がなくなっているのが現状だ。
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が、一人暮らしの20代~30代の男女、600人を対象に行った意識調査によると、全体の63.5%が「近所付き合いはない」と回答している。しかし、ご近所付き合いを「必要だと思う」、または「どちらかと言えば必要だと思う」と回答したのは、全体の5割以上にのぼった。つまり、一人暮らしでも、多くの人がご近所付き合いを煩わしいと感じているわけではないのだ。では、どうしてあまり近所付き合いが行われていないのだろうか。同調査では「顔を合わせないから」「話すキッカケがないから」と、隣近所の住人との接点が少ないことが理由としてあがっている。
そんな中、ご近所付き合いを活性化しようという「イマドキ」な動きが起こり始めている。
例えば、フェイスブックやインスタグラムなどで爆発的な普及を果たしたソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用した地域コミュニティ活性化として、「マチマチ」というSNSサービスがある。「マチマチ」の最大の特長は、半径1〜6キロメートル以内に住んでいるご近所さんのユーザー同士がコミュニケーションをとれる仕組みをとっていることだ。SNSでありながら、実際に会おうと思えば会える距離にいる人たちと交流することで、SNS外でのコミュニケーションに発展することも多いだろう。引っ越してきたばかりのときや、子育て情報の収集などにも重宝するようだ。
また、地域コミュニティの活性化を目的に「イマドキ」な視点でまちづくりを仕掛ける住宅メーカーも現れた。アキュラホームが手がける「ヒルサイドテラス若葉台」がそれだ。「ヒルサイドテラス若葉台」は、京王相模原線利用で新宿まで約26分という好立地にありながら、全51区画、電柱の無い自然味溢れる景観の中に作られた大規模新築分譲戸建て住宅地。ゆとりある区画割りやボンエルフがつくりだす、まちなみの美しさもさることながら、最大の特長は「シェア」するまちづくりだ。複数邸に一か所設けられたコモンスペースをはじめ、まちの中心部には住民が自由に使う事ができるセンターハウスを設置。中心ではゆったりと読書が楽しめる共有のライブラリースペースや、来客用の駐車場が幹部されている。これらはいずれもマンションなどではお馴染みのものだが、住宅地としては有りそうでなかった、嬉しい共有設備だ。また防災用の備蓄倉庫を兼ねた共有倉庫や、普段はベンチとして、災害時には炊き出し用のかまどに変わる「かまどベンチ」など、安心の設備も揃っている。さらには今話題のグランピンググッズの貸し出しまで、あらゆるものをシェアすることで楽しく暮らし、ご近所付き合いも深まるライフスタイルを提案しているのだ。
ご近所付き合いは、時には煩わしく感じたり、トラブルの種になったりすることもある。しかし、子育て世代や高齢者にとっては、ご近所は心強い味方でもある。一軒家でもマンション住まいでも、せめて向こう三軒両隣りの住人の顔くらいは知っておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)