昔は「ご近所さん付き合い」が根付いており、「困ったときはお互い様」「地域の子供はみんなで育てる」というような風潮があり、地域の中で助け合いながら暮らしてきた。人付き合いは大変な面もあるが、頼りになったものだ。しかし、最近はそういった近所のつながりも脆弱になり、地域の助け合いも少なくなった。特に都会でマンションやアパート暮らしをしていると、隣にどんな人が住んでいるかということすら知らない場合もあるかもしれない。また、世知辛い世の中で見ず知らずの土地に引っ越して、不安を覚える人も少なくないだろう。
ご近所さんとのつながりを強くして、助け合いの精神を構築するためのSNSがある。まちづくりに関するコンサルティングを提供しているProperはご近所SNS「マチマチ」を運営している。半径1~5kmに住んでいるユーザー同士が、ご近所さんとしてコミュニケーションをとれる仕組みで、近隣住民同士の交流を深められる。病院の場所や、お店の評判など、地元住民が知っている情報を尋ねることができたり、地域のイベント告知などの情報を発信したりすることもできる。
利用者からは「おすすめの病院を教えて貰って助かった」「申し込んでいた保育園に落ちて困っていたときに、近隣の保育園情報を貰えた」という声があり、特に見知らぬ土地に引っ越ししてきたばかりの子育て世代に人気がある。他にも防犯情報や、求人、不動産物件情報など、さまざまなスレッドがあり、情報交換ができる仕組みが整っている。
若者の間で浸透しているSNSと、日本に古くからあった「ご近所さん付き合い」を上手く融合したコミュニケーションツールと言える。しかも従来のご近所付き合いは、外部の人が馴染むまでに時間がかかっていたが、SNSを利用すれば外部の人でも馴染みやすいというメリットがある。形態は変わろうとも、日本人に根付いている「助け合いの精神」は大切にしたいものだ。(編集担当:久保田雄城)