近年、特殊出生率は上昇傾向に改善されてきているようだ。とはいうものの、数値の水準は人口の再生産を実現する2よりも著しく低い状態で、出生数は過去最低レベルを維持し続けており、少子化問題が払拭されたとはとうてい言えない。
政府の発表した統計分布を見ると、少子化の現象は一人の女性が産む子供の数が減ったということよりも出産年齢が高齢にシフトしたというところが大きいようだ。以前より、10代の女性が産みたいと思っている子供の数は2~3人で第一子は20代中頃までにという統計結果が出ている。
しかし、実績は若い女性の希望水準を顕著に下回ってきた。若い女性達の希望が実現できない何らかの社会的制約が存在すると考えられる。政府も少子化問題を同様に捉え教育支援や働き方改革の中で子育て中の女性を支援することで産みやすい社会の実現を目指している。
こうした実情に変化がないことが民間調査によって再度確認された。10月、日本財団が晩婚化、少子化に関連して17歳から19歳の男女800名を対象に「18歳の意識調査」を実施、12日にその集計結果を公表している。
「結婚願望」について聞いたところ「結婚したい」と答えたのは全体で74.9%、男性では72.0%で女性では77.8%と女性の方が高い結果となった。結婚したい理由は、自由回答で「家庭を持ちたい・子供が欲しい」などとなっている。
「何歳までに結婚したいか」という質問に対しては、「30歳までに」が51.4%と最も多く、次いで「25歳までに」の33.9%となっており、「30歳まで」の合計で86.6%と9割近くが「30歳まで」の結婚を望んでいる。
「希望する子供の数」については、「2人」が52.8%で最も多く、「0人」は21.4%となっている。「2人」以上の合計では68.8%で約7割の者が2人以上の子供を望んでいる。
「住みたい場所」については、「都心」が33.0%、「地方」が29.4%、「こだわらない」が33.3%と分かれたが「こだわらない」が比較的多い結果となっている。男女別では「都心」と答えた者が女性で38.8%、男性で27.3%と女性の都会志向が強いようだ。
子供の数や住みたいところなど、これまで同様に18歳前後の若者の希望と現実は大きく食い違っている。子育て負担の増大やその背景にある都会への人口集中など、長い経済発展の過程で生まれてきた生活のしづらさの払拭が今求められているのではないか。若者の希望が叶うような住みよい社会を築くことが少子化解消のためには欠かせないと言える。(編集担当:久保田雄城)