出生数最小を更新 自然減も最大幅

2018年09月16日 11:39

画・出生数最小を更新 自然減も最大幅

厚生労働省が発表した人口動態統計によれば、2017年の出生数は過去最少の94万6千人となった。今後は女性が働きながらの子育てをしやすい環境づくりのために知恵を絞るべきだろう。

 厚生労働省が発表した人口動態統計によれば、2017年の出生数は過去最少の94万6千人となった。これで出生数は2年連続で100万人を下回り、1人の女性が生涯中に産む子供の数を示す合計特殊出生率も16年を0.01ポイント下がって1.43であった。

 出生率が下がる一方で死亡数は増加の一歩をたどっている。高齢化が進んでいるのがその主な原因だ。17年の死亡数は134万人を超え戦後最高を記録した。出生数から死亡数を差し引いた自然減も40万人に迫る勢いで過去最大の下げ幅を記録している。戦後2回到来したベビーブーム以後は出生数の減少が続き、07年以降は自然減が続いている状態だ。1973年前後に到来した第二次ベビーブームで生まれた世代も今では45歳前後の年齢となり、今後出生率が大幅に上昇することも期待することは難しいだろう。

 こうした人口減の影響を特に受けているのが地方都市だ。内閣府の示す資料によれば、東京圏、大阪圏、名古屋圏に流入する人口はここ数十年でそれほど変化がなく、東京圏に住む若者の比率はここ40年で緩やかに上昇を続け、2010年代に入ってからはおよそ30パーセントを維持している。つまり人口減少に歯止めがかからない一方で、多くの若者が地方から都市圏へ流入しているのだ。特に若い女性が東京圏や他の都市圏に流入することで人口減が加速していると考えられる。都市圏に働くために地方から移住してきた女性は出産や育児のために離職するのをためらう傾向がある。地方ではいよいよ人口減が進み、その一方で都市圏の出生率も上がらないという負の連鎖が続いているのだ。

 とはいえ暗いニュースばかりではない。あるサイトが実施した働く女性700人を対象にした調査によれば、働く女性の約6割は子供が欲しいと思っているとのことだ。つまり環境さえ整えば出生率が高まることも考えられる。育児休暇の充実、男性の育児への協力、出産・育児後の復職のしやすさなど環境は整いつつあるが、より一層働きながらの子育てをしやすい環境づくりのために知恵を絞るべきだろう。(編集担当:久保田雄城)