「仕事が忙しく十分な子育てができない」 男性は54%、女性は 26%

2018年09月23日 16:25

画・「仕事が忙しく十分な子育てができない」 男性は54%、女性は 26%

厚労省が「平成28年社会保障を支える世代に関する意識調査結果について」を公表

 1963年、厚生省の人口動態審議会は少子高齢化による21世紀の経済停滞と社会保障制度の破綻について答申している。その後、特殊出生率は政府の予想を超えて低下し続け、社会保障制度維持の問題は予測された以上に深刻化しているとも言える。

 政府は消費税を財源とする社会保障制度の拡充でこれを乗り切ろうと努力してきたが国民の理解を得られず、日本財政は社会保障関連費の膨張を主因として1000兆円を超える財政赤字を抱えている。今なお少子化克服は政府の主要な課題の一つであるが、予想を超える出生率低下の主要因は何であるのか。

 14日、厚生労働省が「平成 28 年社会保障を支える世代に関する意識調査」の結果を公表した。この調査では全国1万2539人の男女を対象に8873人の有効回答を得て、子育ての状況、就業の状況、子供を持つ希望やそれに至る制約に関することについてアンケート調査がなされている。

 子供の保有人数を男女別・年齢階級別に見ると、男性では全体で子供1人が25.2%、2人が41.3%、3人以上が17.8%となり、85%の者が1人以上の子供を保有している。40~49歳でみると、1人が20.7%、2人が45.5%、3人以上が20.3%となり、2人以上の者の割合65.8%と全体平均より増加している。

 一方女性では、1人が22.5%、2人が43.9%、3人以上が18.1%となっている。40~49歳でみると1人が18.3%、2人が49.8%、3人以上が20.3%となっており、70.1%の者が子供2人以上で、88.4%が1人以上という結果になっている。詳細を見ると少子化と言うより晩産化によって特殊出生率が低下している可能性がうかがえる。

 子育てと仕事の両立については、男女ともに「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」が最も多く、男性で53.9%、女性では 25.5%となっている。次いで男性では「苦もなくできている」の33.5%、女性では「そもそも仕事を していない」の 24.0%の順となっている。

 理想の子育てについては「片働きで一方が主に子育てを行う」が39.3%で最も多いが前回の平成22年調査の46.3%より大幅に減少している。

 「子供を欲しくない理由」は男女別・未婚既婚別ともに経済的自由が最多で、20~39歳で見ると男性の未婚者で58.9%、女性の未婚者では40.0%となっている。政府に望む支援策では男女共に「経済的支援策」「教育費の軽減」が約6割で圧倒的に高くなっている。少子化克服のカギは経済的支援の拡充にありそうだ。(編集担当:久保田雄城)