戦後日本が国是としている『専守防衛』の逸脱につながらないのか、安倍政権の下で拡大を続ける防衛費と防衛装備に疑問の声があがるなか、政府は18日、「いずも」型護衛艦の事実上の空母化や短距離離陸・垂直着陸可能な最新鋭ステルス戦闘機「F35B」18機の新規導入などを盛り込んだ「中期防衛力整備計画」(2019年度から5年間)を閣議決定した。
5年間に投じる費用は27兆4700億円と過去最大になる。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」2基の導入も入っている。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「政府としては激変する安全保障環境の中、新たな防衛計画の大綱等に従い、国民の命と平和な暮らしを守るべく、万全を期す」と語った。
野党第1党の立憲民主党は「護衛艦いずも等の事実上の空母化については、そもそも専守防衛に関する従来の政府答弁を逸脱し、事実上の敵基地攻撃能力の保有になるなど重大な懸念がある」と問題だとする談話を発表。
「政府が議論を避けるために『多機能の護衛艦』などの表現を使用している点はきわめて姑息と言わざるを得ない」と指摘するとともに「現行の搭載ヘリによる潜水艦哨戒能力、被災地支援任務の維持、高額の改修費、維持費、護衛のための艦艇がさらに必要になる懸念、戦略上・戦術上の必要性や実効性等の観点から見直すべき」と早くも見直しを求めている。
また「イージス・アショア」導入についても「高額な調達費用やミサイル防衛の実効性、電磁波による健康被害の懸念などにより地元の反対が強い点などを踏まえ、また北朝鮮をめぐる情勢の推移を見極めつつ、従来のイージス艦によるミサイル防衛、とりわけ配備ミサイル数の増強などの対応が可能かどうかも含め見直すべき」とした。(編集担当:森高龍二)